看護師の夜勤業務や忙しいシフト勤務(2交代・3交代)が辛くて転職したい。病院の夜勤で大切なことは?

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夜勤、何歳まで続けますか?(続けていましたか?)

出典:夜勤、いくつまで続ける?:結果 | 投票・アンケート | ナース専科

看護師の仕事は3K(きつい、汚い、危険)といわれています。実際に働いていると、3Kを含めて仕事がつらいと感じることはよくあります。その中でも、特に夜勤業務に関してはつらいと感じることが多いのではないでしょうか。実は私もその一人です。

若いころは経験のためと思ってがんばってきましたが、やっぱり夜勤を続けることがつらくなり、現在は夜勤がない日勤だけの仕事へ変わりました。私のように夜勤がつらくて転職した、もしくは看護師を辞めたという人も多いかもしれません。

今回はそんな看護師の夜勤業務のつらさについて、原因・対処法を考え、充実した夜勤ライフを送るためのポイントを紹介していきましょう。

まずは、夜勤と日勤の違いと、特にどのようなつらい場面があるかを掘り下げていきたいと思います。

1. 夜勤が日勤と比べてつらいと感じるところ~身体面~

ツラい理由1 一人が背負う業務の多さ

一番の問題は、業務量が多いということではないでしょうか。一般病棟の日勤と夜勤の受け持ち人数の平均は、以下のようになっています。

日勤 看護師一人あたり 6~8人
夜勤 看護師一人あたり 12~16人

一般的には、日勤の受け持ち人数の倍ちかくを夜勤でみることが多いです。特に7:1の人員配置ではないところや慢性期・療養型病棟などの場合には、20人ちかく患者さんを受け持つこともあるようです。

夜間なので、日中のような清拭や検査、手術の送り迎え、入退院などの業務はほとんどありません。けれど、受け持ちの人数が多いので、検温や点滴類などの処置にしても日勤の倍以上はかかってしまいます。

また、ナースコールの対応や入院、急変などの対応を、夜勤の少人数でこなします。スタッフが全員経験豊富なベテランであれば、スムーズにいくかもしれません。

しかし、夜勤の組み合わせは年齢・経験年数を考えて均等に配置していることが多いため、経験の浅い看護師が入っているとそのフォローにまわる必要があります。日勤では看護師の母数が多いため、大変な業務があってもうまく分担したり、フォローできたりする人も多いですが、夜勤の場合にはそのような余裕がないこともあります。

ツラい理由2 忙しくなる時間帯は夜勤でも多い

病棟で看護師の仕事をしていると、バタバタと忙しくなる時間帯はどの場所でも存在すると思います。個人の感じ方や、病院によって多少は違いがあるとは思いますが、1日のスケジュールの中でも以下は比較的忙しい時間帯ではないかと考えます。

  • 食事中、前後
  • 午前中の清拭・回診時
  • 検温時
  • 消灯前後
  • 起床時

特に食事時は、食堂への移動や配膳・食事介助(経管栄養なども)・内服管理・口腔ケア・下膳・自室への移動と、やることがたくさんあります。

日勤の場合はそれが昼だけですが、夜勤の場合には朝・夕と2回もあります。しかも患者さんの人数は同じなのに、看護師は日勤の半分以下の人数でまわさなくてはいけないのです。

病院によっては早番・遅番のスタッフがいることもありますが、それでも大変さは夜勤のほうが断然上でしょう。

このように、夜間であっても日勤以上に忙しいと感じる場面がいくつかあるのも、つらいと感じる原因ではないかと思います。

ツラい理由3 シフト勤務のつらさ

看護師の夜勤には2交代や3交代などのシフトがありますが、人によって合う・合わないがあります。

2交代の場合には、16時間勤務。2時間前後の休憩が設けられているものの、緊急入院や急変があった場合などには仮眠どころではなくなります。業務が多忙で、夜通し勤務をすることもよくあります。

単純計算でも、労働時間は日勤の倍。一人にかかる業務負担やスタッフの少なさから、実質倍以上の疲労が蓄積されると思います。

それでも若い頃は、夜勤手当てのためや、夜勤明けの翌日が休みであればがんばれるかもしれません。けれど、長期的に続けていけるかと問われると、首を振る人も多いでしょう。

3交代の場合ですと、「日勤→深夜」や「準夜→日勤」というような勤務パターンがある場合もあります。定時であがれなければほとんど自宅で休むことができないので、病院に寝泊まりしている人もいるとか。

勤務時間だけみれば8時間と短いですが、こうした夜勤の組み合わせや、2交代にくらべて連休が少なくなることが、3交代ではネックになってきます。

また、2交代や3交代の夜勤ができる人が少なく、日勤のみで働いている人が多いと、独身の若い看護師の夜勤回数が多くなるという問題もあります。労働基準法では「夜勤勤務は月72時間以内」としていますが、いまだに夜勤が72時間を超えて働いている人も少なくありません。

さらに、夜勤前後の時間の使い方や、生活サイクルが昼夜逆転してしまうことも夜勤では大きな問題です。最悪な場合、過酷な夜勤が原因で体を壊してしまう人もいます。

このような夜勤特有のシフト勤務の悩みが「夜勤がつらい」と感じる理由の大半を占めるのではないかと思います。

自分に合ってると思うのは、二交代制?三交代制?

二交替制派の意見

三交代のように夜間の出入りがないから、時間は長くても楽。特に冬は起きれない。

長いけれど、二日分の勤務で、1回分の通勤。通勤時間がかからない分、いいと思います。

明けの次の日は必ず休みだから、遊ぶ予定が立てやすい。夜勤中はキツイと思うこともあるけど、気づいたら朝になってるから。

三交替制派の意見

まだ小さい子供がいるので三交替の方が家庭を回しやすい。

今三交代で働いてます、まとまった休みは無くなりましたが拘束時間が短いので家族に丸一日会えないなんては無くなりました!二交代は長丁場過ぎて集中力が続きません、仮眠も取れない時あるし。

多忙で休憩時間も取れないときがあることや、拘束時間の長さには耐えられず2交代は無理だと思っています。日勤深夜で4時間しか間が空かなくても、その時間は自由なので精神的な負担がないので

出典: 二交代制化が進む中、三交代を望む理由 | ナース専科

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2. 夜勤が日勤と比べてつらいと感じるところ~精神面~

ツラい理由4 看護師一人にかかる責任が増える

受け持ち患者が増え業務量が増えると同時に、異常の早期発見や悪化予防にかかわるタイミングが多くなります。

特に夜間異常があった場合に、日勤のように先輩や上司、医師に気軽に相談することができません。夜勤の少ないスタッフの中で判断しなくてはいけない場面も多いでしょう。そのような場合に、自分の経験年数や年齢が他の看護師より上であると、その責任は夜勤リーダーである自分にかかってきます。

また、夜勤はただでさえ注意力が低下しやすく、医療ミスを起こしやすい状況。そうした緊張感や不安なども隣り合わせで仕事することになります。

ツラい理由5 夜勤スタッフとの人間関係

看護師の職場において、人間関係の問題はどこでもあることだと思います。日勤であれば多くのスタッフがいるため、たとえ嫌な人がいても周りにフォローしてくれる人や相談できる人がいるかもしれません。

しかし、夜勤の場合は少人数で協力していくことが多いため、嫌な人と関わる機会も多いでしょう。また、夜勤中に交代で休憩をとる際に、嫌なスタッフと二人きりなんてこともあります。

そうした関係はストレスを極限状態にし、ミスを誘発したり、体を壊したりしてしまう原因になることも考えられます。このようなことも夜勤が億劫になる一因であり、つらいことに拍車をかけているように思います。

3. それぞれに対処法はあるのか?

そもそも夜勤は自分に合っている?

看護師の仕事は嫌いではないけれど、なかなか夜勤が慣れないという人もいるでしょう。中には仮眠の時間があっても全く眠れないなど、昼夜逆転の生活スタイルをうまく調整できない人もいます。

新人の頃は、体が慣れるまでに数か月かかる人もいるかもしれません。けれど半年以上経っても変わらないという人は、仮眠の取り方や昼夜逆転を直す方法を間違っているかもしれません。

人それぞれのやり方があると思うので、一概にこれが正解!とは言えません。私なりのうまく仮眠をとる、昼夜逆転を直すポイントは以下の通りです。

  1. 仮眠する前に少し体を動かす。
    私は、肩まわりや股関節のストレッチをします。軽いストレッチは副交感神経を優位にさせるので、眠りにつきやすくなります。
  2. 仮眠の際にはアイマスクをする。
    アイマスクでまぶたが自然に閉じ、明かりなどの刺激をシャットダウンしてくれるので睡眠に集中できて便利です。
  3. 仮眠時間は90分程度にする。
    ノンレム睡眠の周期は寝始めてから深い眠りになり、その後浅い眠りにくるまでに90分程度かかります。浅い眠りのときに起きるとすっきりと目が覚めるので、90分周期で仮眠をとるのがおすすめです。

なかなかうまく日勤・夜勤のペースを作れないという人は、以上のことを試してみるのも方法の一つです。

シフト勤務や業務を見直す

次に、上司に相談するのも一つの手です。きちんと理由を話せば、一時的に夜勤を免除してくれたり、夜勤回数を減らしてくれる可能性もあります。

また、夜勤業務が多忙でつらい場合には、業務の見直しも必要かもしれません。たとえば物品の点検や、看護計画の見直しは、必ず夜勤でやらなければいけない仕事ではありません。

そうした小さな仕事を見直すためにも、上司へ相談し病棟会議で議題にあげることも検討してみましょう。

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4. 転職して解決する

最終的にどうしても夜勤がつらいと感じる場合には、転職するという手もあります。転職先の候補は大きく分けると、「完全に夜勤がないところ」、「交代勤務の体制が違うところ」、「夜勤の負担が少ないところ」があります。

ここでは、より充実した夜勤ライフを送るために、「交代勤務の体制が違うところ」「夜勤の負担が少ないところ」についてチェックしていきましょう。

たとえば2つの病院例を見比べてみます。

1. 小児科……3交代
ベッド数40床に対し、看護師3人(リーダー2名は受け持ち17人、フリー1人は受け持ち6人)手術はほとんどないが、人工呼吸器管理などの重症患児が常時2~3人ほど。日勤夜勤ともに緊急入院は多い。家族付き添い制をとっている。
2. 整形外科……2交代
ベッド数60床に対し、看護師4人(受け持ち患者15人)、看護補助者1人。日中は手術が3~5件ほど。日勤の緊急入院は多いが、夜間はそれほどでもない。急変なども少ないが、移動介助でトイレコールなどが多い。

これらの情報から、どのような点に注意していくかをご紹介します。

夜勤のスタッフ人数を確認する

夜勤をスムーズにこなせるようになるためには、まず夜勤のスタッフ人数と患者数のバランスが大切です。

上記の例は、以前私が働いたことのある病院を元にしたものです。これらを参考にして、どのような夜勤体制があなたに合っているかを考えてみます。

1.の小児科では、緊急入院や急変対応などが多いです。けれど家族付き添い制をとっているので、オムツ交換の時間などは重症患児以外はほとんどありません。ナースコールも、点滴や吸引などに関するものが多いです。

しかし、3交代なので、「日勤→深夜」や「準夜→日勤」といった勤務パターンになる可能性があります。夜勤の時間は短い(日勤と同じ)ので、落ち着いていればあっという間に夜勤が終わるときもあります。

2.の整形外科では、緊急入院や急変などの業務はそれほどありません。移動介助などのナースコールや、オムツ交換といった介助が多いです。特に、就寝前や起床時に集中することが多いです。

しかし、看護補助者が一人いるため、移動介助の一部はお願いできます。2交代であっても、休憩は比較的とりやすいです。

看護師だけじゃなく看護補助者の人数も確認しよう

以上のように、2交代3交代の合う・合わないは人それぞれあるでしょう。私は、圧倒的に2.整形外科の夜勤のほうが楽に感じました。

病棟の患者数や受け持ち人数は、1.小児科とさほど変わりません。けれど、夜間の緊急入院や急変が少ないので、比較的落ち着いて業務をこなせることが多かったです。(これは病院によって差があるので、注意してください)

まず一つは、看護補助者の存在がとても大きいと感じています。1.小児科には夜勤の看護補助者はいなかったので、緊急入院などの場合には、書類や病棟オリエンテーションなども看護師がやらなければならないことも多くありました。

しかし、2.整形外科では、アイスノンの交換やオムツ交換、トイレ介助など看護師ではなくてもできることは、看護補助者が積極的に行ってくれました。夜間の緊急入院の際も、看護補助者が手伝ってくれます。

日勤でも看護補助者の存在にはとても助けられていますが、私は夜勤にいてくれることでかなり疲労度が違うと感じました。

もし、今後転職を考えている場合には、看護師の人数だけではなく、看護補助者の人数も一緒に確認しておくことをおすすめします。

夜勤時の1病棟あたりの勤務者数
一般病棟 療養病棟
看護職員 看護補助者 看護職員 看護補助者
件数 割合 件数 割合 件数 割合 件数 割合
1,620 100.0% 1,620 100.0% 775 100.0% 775 100.0%
0 人 1,035 63.9% 43 5.5%
1 人 6 0.4% 501 30.9% 454 58.6% 507 65.4%
2 人 650 40.1% 76 4.7% 292 37.7% 216 27.9%
3 人 692 42.7% 6 0.4% 20 2.6% 7 0.9%
4 人以上 272 16.8% 2 0.1% 9 1.2% 2 0.3%
平均 2.9 人 0.4 人 1.5 人 1.2 人

出典:2014年「看護職の夜勤・交代制勤務ガイドライン」の普及等に関する実態調査

病院の形態、診療科による夜勤の違い

病院の規模や形態、夜間救急をどこまで受け入れているかなどによっても、忙しさは違ってきます。たとえば急性期の救急指定病院では、夜間でも緊急入院が来ることも多いでしょう。

慢性期病棟やリハビリ病院、老人福祉施設などの場合には、夜間の入院は基本的にはありません。そのため緊急の対応は少ないですが、その分介護度が上がり看護よりも介護の仕事が増えることがあります。高齢者病棟では認知症やせん妄で不穏の患者さんも多いでしょうし、急性期とは違った忙しさがあります。

診療科でいえば、脳外科や循環器科などの外科系病棟と内科系病棟では、急性期と慢性期病棟のように忙しさの度合いが違います。その中でも眼科や耳鼻科などの比較的自立している患者さんが多い診療科では、急変なども少なく、落ち着いて業務ができる傾向があります。

さらに言えば、サービス付き高齢者住宅などの場合、介護度の具合によっては夜間はほとんど待機状態であるようなところもあります。身体的な負担はかなり軽減されますが、看護師としては少し物足りなく感じるかもしれません。それでも夜勤をやりたいということであれば、介護度の低い老人福祉施設がおすすめです。

いかがでしたでしょうか?看護師の中には夜勤をつらいと感じている人も多くいるでしょう。まずは自分は夜勤が向いているか、向いていないかを見直し、自分の看護観や生活スタイルにあった職場や、夜勤ができる環境を探すことが大切だと感じます。

看護師としてやりがいをもって働くためにも、自分の身体を一番に考えてほしいと思います。

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この記事を書いた人
ゆみかおる
看護師10年目。小児科、整形外科病棟、保育園などでの経験あり。
現在はフリーランスとしてクリニック、健診、ツアーナース、医療系ライターとして活動中。
家族構成は父母に妹一人。

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