転職をするときに気になるのが、「年金や健康保険の手続きはどうなるの?」という点です。雇用形態・収入面が大きく変化する場合、年金の切り替え手続きが必要になることもあるからです。
そこで今回は、『転職にともなう年金の切り替え』をテーマに、年金の種別や働き方に応じた手続きをケース別に解説します。将来の受給額に影響する可能性もあるため、年金の手続きに不備が生じないよう、しっかりと理解しておきましょう。
「年金」と聞いてまず思い浮かぶのは、老後に支給される「老齢年金」ではないでしょうか。じつは老齢年金以外にも、病気や事故で働けなくなったときの生活を保障する「障害年金」、被保険者が死亡した際に遺族に支給される「遺族年金」があります。いずれの年金も、いざというときに本人・家族の生活を保障するものであり、これらの社会保障を支えているのが私たちの納める保険料です。
日本の年金制度では、就労の有無に関わらず20歳から60歳までのすべての人が国民年金に加入する義務があります。そのため、転職して雇用形態が変わる・退職して一時的に無職になる・専業主婦から再就職するなどいずれのケースでも、年金を納付する義務があることに変わりはありません。
日本の年金制度は「2階建て」で表現されることが多く、国民年金はその1階部分にあたります。年金制度の土台となる部分であるため、「基礎年金」とも呼ばれます。
支払う保険料は定額制で、毎年改定されます。ちなみに令和2年3月までは1ヶ月あたり16,410円、令和2年4月〜令和3年3月までは1ヶ月あたり16,540円です。20〜60歳までのすべての国民が加入対象者で、農業や自営業の方を第1号被保険者、民間企業や役所に勤める方を第2号被保険者、家族の扶養に入っている方を第3号被保険者と区別します。(下図参照)
会社員やサラリーマンが加入する厚生年金は、年金制度の2階部分にあたります。
厚生年金は国民年金に上乗されるタイプの年金制度で、収入に応じて保険料が変わります。保険料は毎月の給与から天引きされ、職場経由で納付されるため普段はあまり気にしない方が多いかもしれません。
さらに、国民年金(第1号被保険者)が保険料を全額自己負担するのに対し、厚生年金(第2号被保険者)の保険料は職場と折半されるため自己負担が少ないのも特徴です。
このように、公的な年金制度では第1号〜第3号まで年金の種別が区分けされており、保険料の納付額・納付方法・老後の年金受給額が異なります。そのため、自分がどの部分に属しているのかを知っておくことが非常に重要であるとともに、転職前後で年金種別に変更が生じる場合は切り替え手続きが必要になります。
ここからは、年金種別の変更によってどのような手続きが必要なのかケース別に見ていきましょう。
現在の職場と転職先がともに社保完備で、離職期間が全くないか離職期間があっても同じ月に再就職する場合、ご自身による手続きは不要です。たとえば、3月10日付で退職・翌日には新しい職場に再就職する場合や、3月10日付で退職・同月20日に再就職するといった場合です。
このようなケースでは転職先を経由して年金の切り替え手続きを行うため、ご自身が役所に出向く必要はありません。
厚生年金(第2号被保険者)であった方が、転職後の雇用形態・収入の変化などを理由に家族の扶養に入るケースです。この場合、家族の勤務先を通して切り替え手続きを行ってもらいましょう。そこで注意したいのが、扶養に入る条件のひとつである「年収制限」です。
このようなケースでは、基本的に扶養に入ることはできません。ただし例外があり、失業給付の受給額(日額)が3,611円以下の場合、130万円の年収制限を超えないため扶養に入ることが可能です。
これまで家族の扶養に入っていた方(第3号被保険者)が、社保完備の職場に転職して厚生年金に加入する(第2号被保険者になる)場合、家族の扶養から外れることになります。そのため、扶養から外れる旨を家族の勤務先に申告し、手続きを行ってもらう必要があります。
転職後、厚生年金への切り替え手続きは転職先を通して行なわれるため、ご自身による手続きは不要です。
月の途中で退職し、再就職は翌月以降になる・失業給付を受けながら転職先を探す・起業するなどの場合、離職期間中は国民年金に加入する必要があります。国民年金への切り替え手続きは、お住まいの市区町村窓口に出向きご自身で行う必要があります。
まとめると、第1号被保険者(国民年金)となる場合を除き、厚生年金への切り替えや家族の扶養に入るための手続きは勤務先を通して行われるため、ご自身による手続きは不要です。ただし、職場経由で年金種別の切り替え手続きを行う場合でも、年金手帳もしくは基礎年金番号通知書を提出する必要があります。職場に年金手帳を預けている方は、退職時に必ず返却してもらいましょう。
退職後、国民年金(第1号被保険者)になる方を除き、厚生年金(第2号被保険者)や家族の扶養(第3号被保険者)になる場合は職場経由で年金種別の切り替え手続きを行うため、思っているほど煩わしい手続きは必要ありません。
ただ、年金制度はご自身の老後や万が一の病気・事故を支えてくれる大事な社会保障のひとつです。専門家のような深い知識はなくても、年金の仕組みや退職・転職に伴なう基本的な事項を理解しておいて損はないでしょう。もし不安や疑問があれば、在職中に職場の担当者や転職サイトのキャリアアドバイザーに確認しておくことをおすすめします。
手続きや各種申請の最新情報については、お住まいの該当施設のや日本年金機構で情報をご確認ください。
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