転職のときに気になるのが、保険や年金などの各種手続きです。これらの保険料は給与から天引きされ、職場を通して自動的に納付されるため「退職したらどうなるの?」「ややこしい手続が必要なの?」と不安を感じる方もいることでしょう。
今回は『退職時に必要な健康保険の手続き』をテーマに、働き方や保険の種類に応じた必要な手続きをケース別にわかりやすく解説します。
まずは、健康保険について簡単におさらいしましょう。
ご存知の通り、日本には「国民皆保険制度」があるため、すべての国民が公的医療保険に加入する義務があります。その中でもよく耳にするのが、民間企業に務める従業員を対象とした「(社会保険の中の)健康保険」と、自営業や非正規雇用の方などを対象とした「国民健康保険」です。
公的な保険には年金や雇用保険などさまざまな種類がありますが、その中でも病気やケガの際に医療機関で診察や治療を受けたり、出産や病気で働けないときに給付金を受け取ったりするための保険が「健康保険」です。
医療を受けた際の自己負担額が軽くなるのも、万が一のときに給付金を受け取ることができるのも、私たちが被保険者として保険料を支払っているからです。さらに職場を通して加入する社会保険の場合、保険料は職場と折半して支払われているため、本来支払う額の半分の保険料でこれらの恩恵を受けることができます。
「急な病気・ケガに遭遇した」「病気で働けなくなった」というとき、適切な医療や手当金などの給付を受けるためにも、退職や転職時に健康保険の手続きを忘れずに行うことが重要です。
なかには、保険と聞いただけで「面倒な手続きが必要なのでは?」と尻込みしてしまう方がいるかもしれませんが、健康保険の手続きは思っているほど複雑ではありません。ここからは、退職後の働き方や保険の種類に応じた手続き方法について説明します。
まず忘れてはならないのが、退職時に健康保険証を返却することです。職場の健康保険に加入している場合、退職と同時に健康保険の被保険者資格を喪失します。つまり、退職に伴って職場の社会保険の加入者ではなくなるため、健康保険証を返却しなければならないのです。社会保険の脱退手続きは職場を通して行われるため、ご自身による手続きは不要です。
ちなみに、健康保険証の有効期限は「退職日当日」と定められており、翌日以降にその健康保険証を使用することはできません。もし退職後に前職場の健康保険証で医療機関を受診してしまうと、後から複雑な手続きが必要になります。ご自身が面倒な思いをするだけでなく、前職場や転職先に手間をかけてしまうため注意しましょう。
また、あなたの健康保険に家族が被扶養者として加入している場合も同様に、退職日翌日から健康保険証は使用できなくなります。家族の健康保険証も忘れずに返却してください。
失業期間がなく、退職日の翌日に新しい職場へ転職する場合、社会保険の加入手続きは新しい職場が代行します。ご自身による手続きは不要で、新しい職場に求められた書類等を提出すれば大丈夫です。
また、転職前に「国民健康保険」もしくは家族の健康保険に「被扶養者」として加入していた方が、転職先の社会保険に加入する場合、もともと加入していた健康保険の脱退手続きをする必要があります。
国民健康保険の場合はお住まいの市区町村窓口で、被扶養者の場合は家族の務める会社を通して脱退手続きを行いましょう。
このような場合、国民健康保険に加入する選択肢もあります。保険料は社会保険と異なり全額自己負担です。加入手続きは、お住まいの市区町村窓口で行います。
失業期間が生じる場合や、転職先に社会保険がない場合のもうひとつの選択肢として「前職場の社会保険を任意継続する」という方法があります。これは、2年間の期限つきですが、退職後も前職場の被保険者資格を継続できる制度です。
任意継続を希望する場合、退職の翌日から20日以内に在職中に加入していた健康保険組合に申請する必要があり、保険料は在職中の約2倍の金額を全額自己負担します。国民健康保険と任意継続の保険料を比較して、負担の少ない方を選択することも可能です。
まとめると、退職・転職に伴う健康保険の手続きは次のようになります。
いずれの場合も、必要書類を揃えて提出すれば手続きは完了します。複雑なステップはほとんどなく、意外なほどあっさりと終わるため拍子抜けするかもしれません。ただ、そうは言っても初めての手続きに不安はつきものです。退職後に慌てることのないように、在職中に職場の担当者や転職サイトのキャリアアドバイザーに早めに確認しておくと良いでしょう。
手続きや各種申請の最新情報については、お住まいの該当施設で情報をご確認ください。
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