看護師の約6割は転職経験者だといわれています。また、転職したい気持ちはあっても一歩踏み出せないという看護師も少なくないのではないでしょうか。そのような皆さんにとっては、転職を成功させるためにはどうしたらよいのかが気になるところだと思います。転職を成功させるために必要なことは、タイミングの見極めと計画的な準備です。今回は、看護師が転職するのに最適な時期と準備期間について解説します。
看護師の転職に適した季節は、“求人が多く新職場でのサポートを受けやすいとき”です。そのような季節を選ぶと、自分に合った職場を選び、スムーズに溶け込むことができるためです。具体的には、年度切り替えとボーナス後がこれにあたります。
一方で、サポートを受けにくい“人手不足の季節”に転職すると、新職場に馴染むのに苦労する場合があります。
前年度末に退職した看護師を補充する4月と異動時期で定員調整も行う10月は、求人数が多くなります。そのため、転職先の選択肢が拡がります。また、新採用者や異動者のために研修やサポート要員が整えられている場合が多く、同じタイミングでスタートする人材が複数いるなどの理由から、職場に馴染みやすい時期でもあります。
一般的に6月と12月のボーナスが支給された後は、それを受け取ってから退職する看護師がいるため、求人数が増えます。転職する側としても、ボーナスを受け取ってからの退職であれば、金銭的にも余裕をもって新しい職場に向かうことができるでしょう。転職に伴って転居する・新しい職場の給与支給日までの期間が長いなどの事態にも、落ち着いて対処することができます。
転職者のサポートをする余裕がない人手不足の季節に入職すると、フォローなしで能力以上の業務を求められるという事態が起こり得ます。そのような状況でも安全に業務を遂行できる自信がなければ、避けた方が無難でしょう。
また長期休暇の時期には、スタッフが出揃っていないため人間関係を把握するのに時間がかかるかもしれません。そのため、ゴールデンウィーク・夏休み・年末年始・退職者が有給を消化する年度末などは、転職に慎重になるべき季節だといえます。
ただし小規模な施設では、欠員が出たときにそこを埋めるという形の求人になることが多いものです。小規模な施設への転職を希望する場合は、よい求人が出たら直ちに応募し、人手不足の状況を自分の力で改善することが必要になります。
転職に最適な時期を見極めるためには、季節と同時に看護師としての経験値も考慮する必要があります。看護師の実践能力がどのように高まっていくかについて述べたパトリシア・ベナーの看護論を参考にしながら、経験年数別のポイントについてご説明します。ベナー看護論をクリニカルラダーの基礎とする施設が多いため、これが看護業界での一般的な捉え方にあたると考えてよいでしょう。
パトリシア・ベナー博士が提唱する「ベナー看護論」では、同じまたは類似した状況で2~3年程度仕事をした看護師が「一人前」の段階にあたるとしています。そのため経験年数が1年以下だと、看護師としての実践能力は低いと判断されることが多いでしょう。
この状況での転職を成功させるためには、自分も転職先も納得できるような転職理由を掲げること・その理由に見合った転職先を吟味すること・年度初めなど新卒同様のサポートが受けられる季節を選ぶことなどが大切です。
前述のように、経験年数2~3年は看護師として大体一人前と捉えられます。ただ、どのような状況で仕事をしていたかによるところも大きいため、自分の看護実践能力の程度についてよくアセスメントすることが必要でしょう。その上で、何を目指して転職するのか・転職先にアピールできる能力は何かを明確にすることが、転職成功のポイントです。
またこの時期は、後輩の育成という役割を担うことが多く、その経験によって成長することができます。転職によってその機会を失うデメリットについても、よく吟味した上で決断することをおすすめします。
ベナーによると、同じような対象者を相手に3~5年働いた看護師は中堅にあたり、状況の把握や予兆の察知・臨機応変な対応に優れてくるとされています。そのため、経験年数5~10年は転職先で即戦力として期待されます。目指す看護師像が明確になり、キャリアプランを描きやすい時期でもあるでしょう。
経験年数として転職に最適なのはいつかという問いに対する答えは「人それぞれ」ですが、あえて選択するとすればこの時期だといえます。
この時期での転職を成功させるためには、今後のキャリアプランを明確にし、それにマッチする(あるいは将来的につながる)転職先を選択すること・転職先には自分の能力ややりたいことだけではなく、求められる役割に柔軟に対応できるとアピールすることが大切です。
経験豊富な10年以上の看護師は、転職で即戦力として求められる反面、これまでに染みついた常識との違いに対応することが難しい・採用条件に不満を抱きやすいなどの特徴があります。ライフイベントや体力低下のために、それまで通りの業務内容では辛いという場合もあるでしょう。
この時期の転職を成功させるためには、特徴の異なる施設や管理職など、転職先の選択肢を幅広く考えることがおすすめです。また、転職エージェントを活用して採用条件の交渉を行い、希望に近づけることも効果的です。
希望に近い転職先を見付けて円満に退職するためには、計画的な準備が必要です。転職する時期にもよりますが、少なくとも3ヶ月前には準備を始めることをおすすめします。
転職の成功には、円満に退職することも必要です。看護業界は何かとつながりが多いため、今後の看護師人生に悪影響がないよう“立つ鳥跡を濁さず”を心掛けましょう。
まずは就業規則を確認し、それに沿って退職の意向を示します。退職の1~2ヶ月前には申し出ること、とする施設が多いようです。直属の上司から報告し、むやみに他言しない・しっかりと引き継ぎをするなどのマナーも大切です。
転職活動では、自分の看護実践能力や希望条件などの明確化・求人のリサーチ・面接日の調整など、多くのタスクがあります。現職場で働きながらそれらをこなすためには、余裕のあるスケジュールが必要です。
さらに、募集人数の少ない突発的な案件を掴むためには、早くからアンテナを張り巡らせておかなくてはなりません。これらのことから、転職活動は少なくとも3ヶ月前から開始することをおすすめします。
転職には多くの労力を要します。だからこそ、必ず成功させたいですよね。自分の経験や求人市場の動向上ベストな時期を見極め、スケジュールに余裕をもって準備することで、満足できる転職先とのマッチングを目指しましょう。
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