看護師をサポートする福利厚生の種類を解説。生活からキャリア支援まで

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看護師の生活や今後のキャリア形成をサポートする福利厚生は病院選びの際もチェックしたいポイントです。看護師の福利厚生にはさまざまな種類があります。今回はキャリアアップに活用できるものから経済的にサポートを受けたいときの看護師の福利厚生まで紹介します。

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福利厚生の充実でわかる就職・転職先の職場環境

就職や転職を考えるとき、金銭面や待遇を重視する場合、まず給与に目が行ってしまうかもしれません。しかし、福利厚生も病院や施設を選ぶうえで重要な項目。給与とは別の労働対価として生活や時にはキャリアアップをサポートしてくれます。

福利厚生を知ることで、今後のキャリアアップのためのサポート体制を理解し、転職時の職場選びの基準として考えることができるようになりましょう。

福利厚生とは?

福利厚生制度とは事業所である病院や施設が看護師やその家族に対して、健康や生活、福祉の向上を目的に行うさまざまな取り組みの総称です。

病院や施設によって、取り組む内容もさまざまで、福利厚生は給与や賞与以外の報酬を指し、現金給付(家賃補助など)や社外の施設利用、育児休業など、看護師やその家族の福祉のために行われている取り組みが福利厚生制度です。

様々なメリットを享受することができる福利厚生を解説

病院や施設によって取り組む内容は多岐に渡ります。少子高齢化の影響で労働人口が減少していること、ワークライフバランスなどの働き方改革などの課題により、優秀な看護師を獲得・定着(エンゲージメント)させるために強化しているのが福利厚生です。自施設の福利厚生の特徴を目玉にして、イメージの向上、採用活動に取り組んでいるところも多いです。

福利厚生はパートや契約社員でも同様に適用される

福利厚生は正規雇用である常勤看護師しか受けられるものではないかと思うかもしれませんが、パートや契約職員も同じく適応されます。パートタイム・有期雇用労働法により、2020年4月1日から正規雇用者とパートの待遇差は禁止となったからです(中小企業は2021年4月1日から)。以降では、福利厚生の細かな種類についてみていきましょう。

看護師をサポートしてくれる様々な福利厚生

福利厚生の種類には法律で定められている福利厚生(法定福利厚生)と病院や施設が独自に制定している福利厚生(法定外福利厚生)があります。

法定福利厚生

法定福利厚生には、健康保険や介護保険、厚生年金保険、子ども・子育て拠出金(旧:児童手当拠出金)などの社会保険と、雇用保険、労災保険などの労働保険があります。病院や施設が実施することを法律で義務づけられている福利厚生です。健康保険や介護保険、厚生年金保険は労使折半(事業主と労働者が半々ずつ負担すること)、労災保険は事業所が全額負担することになっています。実は気づかないところで病院や施設が負担してくれているのです。また、法定福利厚生には、基本の6種類のほかに、障がい者雇用納付金、災害補償の費用を病院や施設が負担することも含まれています。

法定外福利厚生

法定外福利厚生は、病院や施設ごとの任意により行われる福利厚生制度です。法律による規定がないため、病院や施設ごとにさまざまなサービスを取り入れることが可能です。福利厚生の充実とは、この法定外福利厚生のことを指します。代表的なものからまずは紹介していきます。

  1. 住宅
    住宅手当・家賃補助(世帯主、世帯主以外で差があり)、看護師寮、寮や借り上げアパートの提供、通勤手当などがあてはまります。総合病院だと医師や看護師の寮を完備しているところも多いです。例えば、1LDKの賃貸で月6~7万円のところを、半額の3万円前後で住めるなどです。都内一等地に割安で済むこともできるので、嬉しい補助です。しかし、病院の敷地内にある寮の場合には、通勤が便利なのは大きなメリットですが、救急車の音が聞こえる、スタッフと鉢合わせしやすいことはデメリットに感じるかもしれません。
  2. 通勤関連
    通勤手当には電車やバスの運賃、車通勤時のガソリン代などが支給されます。また、エリアによっては夜勤時のタクシー券などの補助もあります。交通費には上限が決められていることもあるため、注意が必要です。
  3. 慶弔/災害関連
    スタッフの慶事や身内に不幸があった際に支援する制度です。結婚・出産祝い金、傷病見舞金、弔慰金、災害見舞金、遺族年金などがあてはまります。
  4. 健康/医療関連
    健康や医療にまつわるサービス、費用の補助です。健康診断、人間ドック、カウンセラー・相談窓口の設置などがあてはまります。看護師の場合にはストレスを抱えやすいため、外部のカウンセラーなどが常駐していると、無料で相談することも可能です。
  5. 育児/介護関連
    働く母親・父親の仕事と家庭の両立をはかるサポートです。育児・介護休業の拡充、子の看護休暇日数、短時間勤務制度、託児所の設置、ベビーシッター料補助などがあてはまります。特に土日出勤や夜勤をする子持ちの看護師にとっては、土日も夜間も預けられる託児所は重宝されます。しかし、院内の託児所の場合、仕事以外、休みの日には預けられないところもあるので注意が必要です。
  6. 休暇
    さまざまなネーミングの休暇が増えてきています。法定日数以上の有給休暇、リフレッシュ・アニバーサリー休暇、生理休暇などがあてはまります。リフレッシュ休暇は勤続年数に応じて貸与されるところもあるようです。また、誕生日や結婚記念日などのアニバーサリー休暇に関しても、実施しているところが増えてきているようです。看護師のように体力仕事の場合、生理休暇も嬉しいものです。これに関しては間違った認知が広がっていますが、生理休暇の申請には診断書の提出は必要ありません。
  7. 業務/職場環境
    被服手当(ユニフォームやナースシューズ貸与など)、クリーニング、仮眠室の設置、職員食堂・カフェ設置、夜勤時の食事補助があてはまります。ほとんどの病院や施設でユニフォームやナースシューズの貸与、クリーニングが行われていますが、小さな施設の場合には自分で準備する、自宅で選択しなければならないところもあります。また、仮眠室がなく、休憩室の椅子やソファで仮眠をとるところなど、職場環境の設備がどれほど整っているかは長く働くうえでもとても大切です。夜勤時の食事補助も、2交代の場合には2食分準備しなければなりませんが、その手間が省けるのも嬉しいものです。
  8. 財産形成
    スタッフの財産形成のサポートをするものです。確定拠出年金制度、確定給付企業年金制度、財形貯蓄制度、持株会の実施、社内預金制度などがあてはまります。
  9. その他
    サークル活動の補助金、ランチや飲み会の費用補助、運動施設や保養所の割引、社員旅行などがあてはまります。大きな病院や施設などでは、サークル活動も活発でその費用が一部補助されることもあります。またスポーツジムやマッサージ施設、提携しているホテルや施設などの割引制度も充実していることで、安くチケットがとりやすいなどのメリットもあります。こうした福利厚生サービスをまとめたパッケージプランとして、外部に委託しているケースも増えています。

看護師のキャリア支援に関する福利厚生

看護師としてスキルアップ・キャリアアップを目指している方にとっては、自己啓発やキャリア支援に関する福利厚生が充実しているかは、大きなポイントです。キャリア支援には「eラーニング」や「通信教育」「図書購入の費用補助」「資格取得支援」「海外研修」などがあります。

例えば、認定や専門看護師の資格取得のための学費や試験費用を全額負担しているところ、研修中の給与も一部支給するところもあれば、自費で行うところまでさまざまです。自費の場合には数十万から負担するため、資格取得のためとはいえ大きな出費となります。また、勉強のための図書購入の費用も、特に医学書は一冊の値段が高めであることもあり小さくはありません。今後、こうした資格取得を考えている場合には、こうした福利厚生や体制があるか事前に確認しておくといいでしょう。

福利厚生を職場選択の基準のひとつに

給与や賞与以外の福利厚生にもさまざまな種類があります。それぞれに職場に求めることの優先順位は異なると思いますが、働きやすさや今後のキャリアのことも考えると、就職や転職の際にはあらかじめ福利厚生の確認も大事です。自分のワーク・ライフスタイルに合う職場を見つけていきましょう。

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白石弓夏
この記事を書いた人
白石弓夏
1986年千葉県生まれ。2008年に看護専門学校卒業、看護師免許取得。10年以上病院やクリニック、施設等で勤務。2017年よりライターとして活動。現在は非常勤として整形外科病棟でも勤務中。2020年11月には9人の看護師にインタビューした著書『 Letters~今を生きる「看護」の話を聞こう~(メディカ出版)』を発売。

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