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【当直】【宿直】【夜勤】とは?それぞれの違いは?病院の看護師の交替勤務など勤務形態の種類!
公開日:2021/10/21
最終更新日:2023/11/7
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病院や介護施設など医療・介護系の職場では、入院(入所)する方の看護ケアや安全確保のため、職員がシフトを組み24時間体制で働いています。交代勤務は大きく「日勤」と「夜勤」に分けられますが、ときに「夜勤」と「当直」を混同して使用することもあり、違いがわからない方もいるのではないでしょうか。今回は、当直・宿直・夜勤の違いについて解説します!
【当直】【宿直】【夜勤】勤務形態の種類は同じようで全然違う?
当直・宿直・夜勤は、いずれも「夜間に勤務する」という意味で使われます。
2交代制勤務の夜勤を「当直」と呼ぶこともあり、「何が違うの?」「呼び方が違うだけで仕事の中身は一緒でしょ?」と誤解している人が少なくありません。
しかし、当直・宿直・夜勤では、業務内容や賃金がまったく異なるのです。
当直とは?
当直とは、通常の勤務時間外に交代制・当番制で働くことです。
夜間・休日などの診療時間外に勤務する医師のことを「当直医」と呼ぶように、あくまでも「通常の勤務時間外」であることがポイントです。
労働基準法では、「日直」「宿直」の2つの勤務形態を合わせて『宿日直』と呼び、日直は昼間に、宿直は泊まり込みで夜間に勤務します。
つまり、当直の勤務形態のひとつとして宿直があるのです(宿直については後ほど解説します)。
当直勤務は労働時間規制の適用対象外であり、週40時間の法定労働時間に含まれません。
そのため、当直の業務内容を通常勤務とは別にすること・一定基準以上の手当を支払うことなど、いくつかのルールが決められています。
病院や介護施設などにおけるルール(宿日直の許可基準)は以下のとおりです。
● 通常の勤務形態(日勤・夜勤など)から完全に解放されていること
● 通常勤務の業務は行わず、定期的な巡視・電話対応・非常事態に備えた待機・異常患者の医師への報告・少人数の要注意患者の検温など、特殊な措置を必要としない軽度または短時間の業務に限ること
● 宿直は寝具・暖房などの睡眠設備を設け、夜間に十分な睡眠が取れること
● 宿直は週1回以下、日直は月1回以下であること
● 当直手当は、同種労働者の平均賃金の1/3以上であること
参考)看護職の夜勤・交代勤務に関するガイドライン(日本看護協会)
https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/guideline/yakin_guideline.pdf
病院・介護施設などで職員が当直を行う場合、これらの許可基準を満たし、さらに労働基準監督署の許可を得ることが義務付けられています。
宿直とは?
宿直は、当直(宿日直)の勤務形態のひとつに位置づけられます。
病院や介護施設に泊まり込みで勤務することになりますが、ルール上は夜勤と異なる働き方です。
夜勤と違い、宿直はあくまでも「非常時に備えた待機要員」であり、施設内の定期巡視・電話対応など軽度の業務に限定されます。
しかし、病院や介護施設での宿直は、急変対応や救急搬送など緊急対応に追われることも珍しくありません。
宿直業務の範囲を超えた場合は、時間外労働として割増料金が支払われ、22時〜翌朝5時までの時間帯は深夜割増も発生します。
夜勤とは?
病院や介護施設に泊まり込みで勤務するという点では、夜勤も宿直も同じように見えます。
ところが、夜勤と宿直には大きな違いがあり、宿直が「非常時に備えた待機要員」であり「軽度の業務に限る」のに対し、夜勤は「通常勤務と同様の業務」を行うのが特徴です。
例えば、バイタルサイン測定・全身状態の観察・投薬・食事介助・排泄介助・事故防止対策などです。
通常勤務と同様の業務を行うため、週40時間の法定労働時間に含まれます。
さらに、昼間と同様の業務を夜間の人手が少ない状況で行うため、宿直に比べて身体的・精神的負担が大きいといえるでしょう。
深夜時間帯(22時〜翌朝5時)に割増手当が発生するのは宿直と同じです。
勤務形態の違いをしっかり理解しておこう!
このように、当直・宿直・夜勤は業務内容・支払われる賃金に大きな違いがあります。転職の際には、これらの勤務形態について十分な説明を受け、納得した上で雇用契約を取り交わすようにしましょう。
さらに、宿日直の許可基準は一度届け出をすれば更新の必要はなく、基準が守られていない職場もあります。
転職してから「話が違う」ということにならないよう、勤務形態の違いやルールを十分に理解しておくことが大切です。
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この記事を書いた人遠藤愛(えんどうあい)
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関東の病院で外科・内科・地域包括ケア病棟、地域連携室に勤務。
その後、介護施設、訪問看護に従事。看護学校での外科看護臨時講師の経験あり。