ほぼ未経験・・・でも病棟で働き…
医師への報告が苦手な看護師さんへ。困った時に実践すべき3つのこと
公開日:2018/10/30
最終更新日:2023/11/7
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業務中、看護師にとって一番の悩みの種となっているのが、人間関係です。今回はその中でも、多くの看護師の方が経験している医師とのトラブルについて取り上げます。
「こんな医師いるいる!」というエピソードや、医師と上手くコミュニケーションをとる方法をご紹介します。今、モヤモヤ、あるいはビクビクしながら仕事に行かれているあなた!本記事のトラブル対処法を実践して、患者さんのケアに全力を注げるようになりましょう!
【1】 医師とトラブルになるのはこんな時
今回は、皆さんが抱いている医師との人間関係の悩みで多かった「医師の態度に困っている」「医師への報告が難しい」「医師とうまく連携ができない」の3点に焦点を当てて、その対処法を探ってみたいと思います。
「医師の態度に困っている」
まずは、「医師の態度に困っている」という悩み。実際に看護師の声を聴いてみると、こんな悩みが出てきました。
以前の病院はスタッフ個人個人を尊重してくれる医師が多く、働きやすかったのですが(中略)今の病院にはほとんど初対面の私を「アンタ」呼ばわりしたり、バカにしたような態度をとったり、デリカシーのかけらもない医師が若干名います
引用元:ナース専科ラウンジ「医師との関わり方」
転職をした際に前の職場と医師の態度が大きく違い、ギャップを感じる人がいます。看護師への尊重が全く感じられない、みなさんもそのような経験をされていないでしょうか。
また他にも、「キツい言葉を浴びせてくる」「こちらのミスでなくてもあからさまに叱責される」「すれ違って挨拶をしても返してくれない」「治療について、患者の気持ちを代弁して伝えたら『お前は黙ってろ』と言われた」など、理不尽ともとれる態度に困っている看護師は少なくありません。
「報告するタイミングが難しい」
次に、報告に関する悩みです。医師に報告する際のタイミングや、やり方がつかめず、苦労するパターンも。患者さんの状態を報告すると、ある時は「そんなことは後で報告してくれ」と言われ、またある時は「どうしてもっと早く言わないんだ!」と叱られ…そんなことが重なると、いつ何を報告すべきなのか、判断に迷います。
また、報告のタイミングや方法によってもイライラしてしまう医師がいます。迷った結果報告して、お叱りを受ける・・という経験はありませんか。せっかく報告してもこのような結果になれば、次回の報告が怖くなってしまいますよね。
「連携が困難」
多職種でチームを組んだ際に、医師がリーダーを務めることがありますが、未だに医師が優位に立ってしまう傾向があり、そこに悩みを抱える看護師も少なくありません。医師優位の関係の中で「連携しようという意思や歩み寄りが感じられない」「協業というより命令されることがある」と感じたことはありませんか?また、そのような環境下では、「自分の意見を言っても相手にされないことがある」「チームでの権限がなく、意見が反映されない」と感じる看護師も居ます。
【2】医師とのトラブルを回避するには?
さて、医師との関係における3つの悩み、これらに関するトラブルを回避するには、どうすれば良いのでしょうか。
医師の態度に困った時は…
何を言っても怒鳴られる等、あまりにも理不尽な医師の態度そのものを変えることは困難ですが、挨拶や、コミュニケーションの取り方を工夫したり、医師に対する自分自身の考え方を変えたりすることは明日からでもできますよね!
名前を呼んで挨拶してみる
「おはようございます!…」挨拶してみても返ってこない。これ、看護師あるあるです!そんな時は「〇〇先生、おはようございます」と名前を添えて挨拶してみましょう。そもそも医師が「自分に向けて挨拶された」と認識していないケースも。名前を呼ばれれば、誰でも反射的に反応してしまうもの。無視する方が難しいシチュエーションを作りましょう。
技術的な話題以外を振ってみる
時間ができた時、話を振ろうとしてみても、どうしても医療にまつわる話など相手に直接関係ない話をして、「人柄」には触れられていないことはありませんか。
今度話をするときは、それとなく趣味や好きな音楽、映画、スポーツなど、「相手がどういう人なのかが分かる」質問をしてみましょう。どんな人か掴めないから近づきがたい、といった壁は小さくなります。
尊敬の念を抱いてみる
あくまで一般論ですが、難関である医学部を卒業し、医師免許を取得した医師が高いプライドを持っていることは想像に難くありません。
そのため、意見されること=「自分を否定された」と感じてしまい、「セカンドオピニオンさえ不快」と考える医師がいます。もちろん、患者さんやご自身の意見を伝えることを控える必要はありませんが、そのプライドの裏には「積み重ねてきた努力」や「その中で構築してきた価値観」があることを頭の片隅に置いてあげてください。
報告するときのポイントって…?
報告のタイミングや伝え方がうまくいかない!そんな看護師の皆さんは是非参考にしてみて下さい。
報告すべき状態
患者さんの病状に変化が見られ、すぐに処置すべき場合には、時間帯に関わらず、速やかに医師に報告しましょう。
特に、呼吸状態が突然悪化した場合や、血圧が低下・上昇した場合には必ず何らかの病態があるため、医師への報告が必須です。
報告するかどうか迷った時は
報告するかどうか迷うこと、よくありますよね。もし「今言うべきか分からない」と思ったら、時間を一つの判断基準にしてみましょう。
- 真夜中であれば様子を見ながら、細かく観察する
- 22時、23時ごろであれば一報入れておく
などと時間帯と医師の様子を考慮して、自分で判断基準を設けてみると良いでしょう。
また、
- 呼吸循環などのように、患者の状態が急変する可能性がある場合
- 迅速に対処することで患者の回復が見込める場合
このような場合には、報告するという判断基準もあります。
確認を忘れずに
迷った末にドクターコールをしたら「そんなことで電話してくるな」と言われた。このような場合には必ず、「今後患者さんが〇〇な様子の際は電話はするな、ということですね」と落ち着いた時に確認するようにしましょう。
せっかく患者さんのためを思って報告をして、叱られてしまうのは精神的に苦痛ですし、次回の報告がしづらくなってしまいます。だからこそ、「報告のタイミングや内容に問題があったかどうか」「次回どのように対応すればよいか」を直接医師に確認しておくことが重要です。少し時間が経ってから聞くと、「ごめん、やっぱりそのような場合には報告してください」という返事が返ってくる場合もあります。
その都度迷ってしまうのは仕方がありませんが、次回同じことがあった時に対処できるよう、確認を行うようにしましょう。特に長期的に医師と付き合っていく場合には、この確認はとても大切です。
実際に伝えてみましょう
さて、ここからは「実際に報告!」となったときに自信をもって伝えられるよう、報告の際のポイントを5点まとめてみます。
①宣言する
いきなり話の中身を伝えられても、聞き手側は何に注意して聞けば良いのか分からず混乱してしまいます。
話をする前に以下の2点に気を付けてみて下さい。
- 「何についての話」なのか宣言する
- 「報告」なのか「意見が欲しい」のかなど、話をする意図を宣言する
悪い例「〇〇さんが昨日から血圧低下気味で、ご本人はかつて△△を希望されていたのですが、今の状態を考えると…」
良い例「○〇さんの病状の変化についてご相談があります」
時間がない時でも、始めに宣言しておくことで、「その話は今じゃなくて大丈夫」などと必要事項のみが絞られ、効率よく報告することができます。
②ポイントの数を伝える
「〇〇さんの病状について報告が2点あります」というように、「話のポイントがいくつあるか伝えることで、相手は話の全体像を把握でき、話にかかる時間も予測しやすいです。そうなれば、「この話いつまで続くの?時間ないんだけど」というイライラも回避できるはずです!
また、ポイントの数を把握するため、予め話の内容を箇条書きしておきましょう!
③結論から話す
「〇〇さんの様子どう?」と聞かれたとき、あなたはどのように答えますか?
「××という理由で△△をして、その結果□□な状態です」というように、「理由」や話が進んだ「過程」を述べた後に「結論」を話していないでしょうか。
手短に要点を伝えるポイントは、ズバリ結論から入ることです。
最初に「結論」を話し、そのあとに必要があれば「過程」や「理由」を話すようにしましょう。
④必要のない仕草は控える
対面して話をする時、人はどうしても目に見える情報に集中してしまいます。髪をいじる、落ち着きなく手を動かす、などの仕草は以外にも話の内容を理解することを邪魔していることが多いです。必要ない仕草は控えましょう。代わりに、ポイントを列挙する際などに身振り手振りを使うと効果的です。
⑤客観と主観の区別を意識する
「ご家族は〇〇と仰っていましたが、おそらく△△という意図からだと思います。」この文のまずいところは一体どこでしょう。
〇〇の部分は客観的な事実、おそらく△△からの部分は主観的なあなたの推測が述べられています。複数名が同じ事実を見たとき、それぞれが同じ感想や推測を抱くことはありません。主観を混同して伝えず、「ここからは私の推測ですが」と一言添えてあげると、主観と客観の区別がしやすくなります。
医師とうまく連携をとるにはどうすれば良い…?
対等であることを意識する
医師や看護師の他にも、介護士や薬剤師など多職種が協業して行うチーム医療、ここでも医師と上手く連携が取れず悩む看護師がいます。特に医師がリーダーを引き受けるケースでは、医師の裁量権が大きく、自分の意見が言いにくい場面がありますよね。
しかしそもそも、医師も看護師も「立場」は同じはず。違うのは「役割」ですよね。患者さんに近い距離の役割を担い、誰よりよく患者さんを分かっているのは看護師であるあなたです。あくまで対等に、思ったことはぶつけてみましょう。また、ある研究では、医師を尊重しつつも自分の意見を率直に伝えられる看護師の方が医師と良い関係が気づける傾向があると言われています。率直になることもまた、関係構築にポジティブな影響を与えることもあります。
看護部長に相談する
率直に意見を言うことが難しい場合は看護部長に相談するのも一つの手です。経験の長い看護部長であれば、医師とのコミュニケーションにも慣れていることも多いです。あなたが患者さんとのやり取りの中で見たこと、考えたことを第三者を介して伝えてもらうことから始めてみましょう。
【3】トラブルが起こってしまったら
これまで、トラブル回避の方法を紹介してきましたが、どれだけトラブルを回避しようと努めても、報告がうまくいかずキツい言葉を浴びせられてしまうこともあります。そんな時には次の2点を頭の片隅に置いておいてくださいね。
成長の機会と捉える
怒られることは気持ちの良いものではありませんが、必ずしもマイナスであるとは限りません。「面倒だから指摘しない」と考える医師もいる中で、「勇気を出して怒ってくれている」と認識すれば、怒られることへの捉え方も変わってくるでしょう。「次はできるように」もう一度身を引き締めて、自分の成長に繋げていきましょう。
環境を変える
「成長の機会と捉える」は、ひたすら我慢し続けることではありません。医師との関係で、前向きに対処することが困難に感じたときは、思い切って違う環境を探してみてください。
病棟や医療機関によっては、医師と看護師、また周りの人間関係が大きく異なります。ピリピリしていて周りに相談し辛い環境もあれば、とにかく皆がフラットな環境もあります。
もし、医師とのトラブルで辛い思いをしていたり、仲間に相談するのが難しい場合は、一度ナース人材バンクのキャリアパートナーに相談してみてはいかがでしょうか。自分の働く環境の外の情報、特に人間関係などの詳しい情報を自分自身で収集するのは時間と労力が掛かりますよね。そのような情報は、是非キャリアパートナーに求めてみて下さい。
【4】まとめ
医師との関係に悩んでいる読者のみなさんは、この記事を読んで、自分だけではないことを実感できたでしょうか。
普段患者さんと触れ合っていらっしゃる看護師のみなさんはいわば「コミュニケーションのプロ」です。そんなみなさんでも、トラブルを抱えてしまうのですから医師との人間関係って本当に難しい…
ただ、人間関係が原因で、心の余裕を持って患者さんのケアができなくなってしまうと本末転倒です。真面目な人ほど自分を責めてしまいがちですが、言われたことを全面的に受け止めてしまわず、疑問を持ってみて良いのです。「え、これは私が悪いの?」医師とのやり取りの中で違和感を覚えた時は気軽に周りの方に共有してしまいましょう。あなたが我慢したり、悩んだりしながら仕事に取り組む姿を見ている人は必ずいるので大丈夫ですよ!
今日読んだエピソードに、「まさにこれ!」と共感された方は、医師との関係に悩める他の看護師たちにも是非この記事をシェアしてあげてください。