看護師が海外派遣(ボランティア)として働くには?国際医療・海外派遣団体の年収や資格、英語力は必要?

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看護師として海外で活動したい!国際医療・海外派遣団体を徹底比較!
「将来、海外で看護師として働いてみたい!」という夢を持つ方は意外と少なくありません。

日本と海外では医療提供体制や求められるケアも異なり、看護師としてより多くの臨床経験を積みたい方にとっては、大きな学びの場となるでしょう。

今回は「看護師の海外派遣」をテーマに、代表的な国際医療・海外派遣団体を比較します。これから海外派遣看護師を目指す方の参考になれば幸いです。

海外で派遣看護師として活動するには?

海外で看護師として働くには、その国の看護師資格を取得する方法と日本の看護師資格を活かして海外派遣・ボランティアとして働く方法があります。

当然ですが、日本の看護師資格は日本国内でしか通用しません。そのため、海外に拠点を移し「その国の看護師として」働きたい場合、各国の定める条件や審査をクリアし、現地の看護師資格を取得する必要があります。

語学力は必須で、国によっては看護学位も必要です。学位がない場合は現地の大学に通って取得することが求められます。

一方、海外派遣看護師は語学力が必須であるものの、学位を取得するために現地の学校に通ったり、資格試験を受けたりする必要はありません。

あくまでも「日本の看護師として」海外に派遣されるため、日本の看護師資格があれば活動できます。

今回は、日本の看護師資格を活かし、海外派遣看護師として活躍するための方法・注意点について解説します。

看護師を海外に派遣している国際医療・海外派遣団体6つ

現在、世界各国には多くの国際医療・海外派遣団体が存在します。日本国内にも派遣団体がいくつか設置され、数多くの日本人看護師が海外派遣看護師として活躍しています。

ここからは、代表的な6つの国際医療・海外派遣団体の活動内容や応募条件について、詳しく見ていきましょう。

国境なき医師団

「国境なき医師団」は、もっとも有名な国際医療団体のひとつです。医療・人道的援助活動を行う民間の非営利団体で、アフリカ・アジア・中東・中南米を中心に、世界70か国以上で活動しています。日本からも100人のスタッフを派遣し、34の国と地域で医療・支援活動を展開しています(2019年実績)。

主な活動内容は、紛争・自然災害・難民・感染症・熱帯病などの問題がある地域に赴き、診察や治療をはじめ、予防接種や精神的ケアを行うことです。

海外派遣された看護師は、現地医療スタッフに対する指導・教育・技術トレーニングなどのマネジメント業務を中心に行います。手術室看護師・助産師として派遣される場合は、手術の直接・間接介助や分娩介助に携わることもあります。

気になる費用ですが、渡航費・宿泊費・ビザの取得など海外派遣にかかる費用は、すべて団体が負担します。

最初の1年間は約17万円の給与が支給され、その後は役割や職務経験に応じて給与がアップします。一定期間働くことで、雇用保険・厚生年金・健康保険などの社会保険に加入することも可能です。もちろん、現地での住居も提供されます。

海外派遣看護師に応募するにはいくつかの条件があり、一部抜粋すると次のようなものがあります。

応募条件の一例(抜粋)

  • 3年以上の臨床経験
  • 看護師としての業務・指導・教育が行えるレベルの語学力
  • 1年以上の感染管理の経験
  • マネジメント・教育経験があること
  • 強いリーダーシップがあること

応募後、書類審査と語学力テストを通過すると、英語もしくはフランス語による面接試験があります。

ジャパンハート

「ジャパンハート」は、日本発祥の国際医療団体です。これまでに350名を超えるボランティアが参加し、ミャンマー・ラオス・カンボジアで20万件以上の治療実績があります。

ジャパンハートの活動理念のひとつに「貧しい人々への高度医療の提供」があり、貧困や医師不足に苦しむ国や地域で医療活動を行っています。

ほかにも、大規模災害時の復興支援や、子どもを対象とした福祉活動、医療人材の育成などが主な活動内容です。

ジャパンハートで海外派遣看護師として参加する方法には、「長期ボランティア」と「短期ボランティア」があります。

長期ボランティアでは、国際看護師研修として3つのコースが設けられており、希望のコースを選択できます。

フィリピンでの語学研修や、現地の医療現場を経験できるなど、研修と実践を組み合わせた内容です。

基本的には「研修」ですので、選択するコースによってはかなり費用がかかりますが、国内での研修活動・医療活動では給与が発生するため、自己負担額はそれほど多くありません。(滞在中の食費、宿泊費は費用に含まれています。)

短期ボランティアは、5〜6日間の滞在期間中に海外で活躍する医師・看護師と交流し、現地の医療現場を視察することができます。滞在中は日本人スタッフが同行するので安心です。

費用は24〜26万円ほどかかりますが、滞在中の宿泊費や食費も費用に含まれます。

「短期間で途上国の医療現場を見学・体験したい」「海外派遣の医療スタッフがどのような活動をしているのか知りたい」など、本格的な海外派遣を前に、まずは体験から入りたい方にぴったりのコースです。

語学力は必須ではなく、看護師としての臨床経験が3年以上あれば応募できます。

世界の医療団

「世界の医療団」は、世界73か国、370を超えるプログラムを実施する国際医療団体です(2019年実績)。

世界15か国にある事務局のうち、日本事務局はアジアの拠点として日本人ボランティアを多数派遣しています。

主な活動は、自然災害や紛争によって貧困や医療不足に苦しむ人々に対し、人道医療支援を提供することです。

中には薬物依存患者や性的マイノリティーなど、国によっては医療サービスから疎外されてしまうような人たちも含まれます。

世界の医療団での活動を希望する場合、海外ボランティアとして応募する方法があります。主な応募条件は以下のとおりです。

応募条件
• 2年以上の臨床経験
• 熱帯医学・公衆衛生・海外での医療活動があればなお良い
• 看護師の場合、助産師・保健師資格があればなお良い
• 英語・フランス語を中心に、現地での業務遂行ができるレベルの語学力が必要
• 最低3ヵ月、原則として5〜6ヵ月間ボランティアとして参加できること

応募後は、書類審査に通過すると一次面接・二次面接(日本語・英語・フランス語)があり、合格すれば海外のプロジェクトに派遣される流れです。

なお、ボランティアとして参加することになった場合、渡航費や現地での食費・宿泊費などは団体が負担します。

2ヵ月以上活動に参加すれば、現地の経済レベルやプロジェクトに応じた報酬が支給されるほか、社会保険や日本での住居維持費を一部負担してもらえるなど、待遇も優れています。

プロジェクトアブロード

「プロジェクトアブロード」は、イギリスで誕生した実践型の海外ボランティア・インターンシップ派遣団体です。

参加対象者は高校生からシニアまで幅広く、プログラムも医療・教育・ジャーナリズム・環境保護など多岐にわたります。

プロジェクトアブロードを利用する際の注意点は、医療スタッフとして現地に派遣されるわけではなく、あくまでも「インターンシップ」として参加することです。視察やワークショップが中心で、現地スタッフに同行して国際医療支援活動を実践することもあります。将来、看護師として国際的に活動したい方や、短期間で海外の医療現場を見学したい方におすすめです。

滞在期間中は24時間体制の現地サポートが受けられますが、インターンシップ先でのコミュニケーションはすべて英語になります。

そのため、日常会話だけでなく、現地医療スタッフの説明が聞き取れ、質問できるレベルの英語力があったほうが良いでしょう。

コースは1〜2週間の短期プログラムと、参加期間を自由に設定できる通年プログラムがあり、自由度の高さが魅力です。

費用は1週間で19万〜26万円程かかりますが、現地の宿泊費・食費も含まれます。航空券・ビザ取得にかかる費用・海外旅行保険などは参加費用に含まれないため別途必要です。

JICA海外協力隊

通称「青年海外協力隊」と呼ばれる組織で、独立行政法人国際協力機構(JICA)が運営する海外ボランティア派遣制度です。

看護師が海外ボランティアとして参加する場合、現地の病院や保健センターに赴き、医療事故防止や感染対策などの看護業務や、看護技術の向上・改善を目的とした指導が主な活動となります。

ほかにも、生活習慣病予防の啓蒙活動や、看護専門学校での実習指導を行うこともあります。

海外ボランティアの応募条件は、次のとおりです。

応募条件
• 3年以上の臨床経験
• 看護師の場合、保健師・助産師資格があるとなお良い
• 派遣要請の業務内容によっては、特定分野の専門知識・技術が必要(プライマリヘルスケア、母子保健など)
• 中学基礎程度の英語力
• 原則2年間赴任できること

青年海外協力隊は、国が管轄する組織であるため、審査や事前訓練が他の団体に比べてしっかりしている印象です。

一次審査では人物審査・健康診査・語学力審査があり、その後の二次審査では面接が行われます。

合格後は、「派遣前訓練」として語学10時間・講座6時間を受講し、さらに訓練所に70日間入所して海外派遣の基礎を学びます。

約200時間の語学訓練をはじめ、異文化社会の相互理解や、赴任国で必要となる基礎知識・技術が主な内容です。

海外派遣後は、原則2年間の滞在となります。渡航費や派遣先での生活費・住居費はJICAが負担します。

日本赤十字社

「日本赤十字社」は、世界192の国や地域にまたがる赤十字ネットワークのひとつです。

災害救護・救急医療・人道支援を中心とした活動で、「赤十字といえば災害救護」というイメージがあるほど国内外で大きな存在感を放っています。

日本赤十字社では海外ボランティアの募集は行っておらず、日本赤十字社の職員として「海外派遣要員」を育成・派遣しています。

希望者は海外派遣要員を養成する研修に参加し、赤十字社や安全管理に関する基礎知識をはじめ、国際救援・開発協力・緊急支援について学びます。

このほか、熱帯医学や災害外科など、より専門性の高い研修を受けることも可能です。

赤十字社の看板を背負って、まさに「災害救護・国際医療のプロ」として海外派遣に参加することになります。

繰り返しになりますが、これらは「日本赤十字社の職員であること」が前提にあるため、まずは日本赤十字社の職員として応募・採用されることが条件です。

本格的に災害救護や国際医療について学びたい、組織に属しながら海外派遣も経験してみたいという方は、挑戦する価値があるのではないでしょうか。

看護師の海外派遣団体に共通すること

以上、代表的な6つの国際医療・海外派遣団体をご紹介しました。すべての海外派遣団体に共通するのは、「紛争・災害・貧困などで十分な医療提供ができない国や地域に赴き、その地に住む人々に高度医療・高水準の看護を提供する」という使命です。これらの活動を通して現地の人々と関わり、社会に貢献することを目的としています。

応募条件・派遣先での活動内容・滞在費用・待遇などは団体ごとに異なりますので、「海外派遣に行く目的」「現地で何を学びたいか」「将来のキャリアにどのように活かすか」など、明確な目的やビジョンを持って挑戦することが大切です。

海外派遣看護師になる目的をしっかり考え、計画的に準備しよう

今回ご紹介した団体のほとんどが、基礎英語力を必須条件としています。日常会話だけでなく、看護業務を遂行できるレベルの医療用語・医療英会話も習得する必要があるため、海外派遣看護師を目指す方は、十分な準備期間を設けたほうが良いでしょう。

また、海外派遣・ボランティアに参加した場合、短期ボランティアを除き半年〜2年ほど現地に滞在することになります。

今の職場を休職・退職するタイミングや、帰国後の仕事はどうするかなど、海外派遣前後の予定についても検討しておきましょう。

ほかにも、ビザの取得や海外渡航に必要な書類の準備など、出発までに準備すべきことが多くあります。それらの内容も事前にリサーチし、計画的に準備を進めることが大切です。

最後に、海外派遣に参加するにあたっての準備や語学習得は大変だと思いますが、日本とは異なる文化・環境の中に身を置き、現地での医療を直接見て経験することは何物にも代えがたい貴重な経験となります。

海外派遣看護師・ボランティアに興味のある方は、ぜひ一度挑戦してみてはいかがでしょうか。

ナース転職求人を知りたい方

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