認定看護師の種類一覧と難易度を解説。専門看護師との違いは?

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認定看護師は、キャリアアップを目指す看護師に人気の資格です。本記事では現行の21種類の認定看護分野と、新たな19種類の認定看護分野ごとの役割や試験の難易度を解説。よく比較される専門看護師との違いについてもまとめましたので、キャリアプランの参考にしてください。

認定看護師とは?専門看護師との違いを比較

認定看護師とは、特定の看護分野において熟練した技術と知識を有するものとして、日本看護協会の認定を受けた看護師をいいます。認定看護師の活躍する職場は、病棟や外来をはじめICU・CCUや手術室、看護管理部などの病院内だけでなく、訪問看護ステーションや介護施設、学校や企業まで多岐にわたります。

認定看護師資格取得者の推移

認定看護師の数は年々増加しており、2012年時点では約1万人だったのが、2021年では2万2000人と10年で2倍を超えています。近年の医療の高度化によって、看護師に求められる役割も増えていることがうかがえます。それにともない、看護師が認定資格を取得するための支援体制も、各医療機関で整えられてきていることも一つの理由でしょう。

認定看護師資格取得者数の推移

引用:日本看護協会「認定看護師数・推移」

認定看護師の役割

日本看護協会が提示する認定看護師の役割は3つです。

  1. 実践:個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する
  2. 指導:看護実践を通して看護職に対し指導を行う
  3. 相談:看護職等に対しコンサルテーションを行う

引用:日本看護協会

認定看護師は専門的な治療や看護が必要な患者や家族に対して、専門知識に基づき判断・実践するだけでなく、ほかの看護師に対して自らが手本となり、専門知識・看護技術などの指導や、看護の現場で直面する問題や疑問の相談、改善策を導き出せるよう支援する役割があります。

認定看護師と専門看護師の違い

認定看護師とは別の認定資格である「専門看護師」との大きな違いは、特定分野と役割です。専門看護師は研究活動など、現場以外での幅広い役割を担っているのに対し、認定看護師は特定分野がより細かく分類され、患者への直接的な看護に対して大きな役割を担っています。

より患者に近いところで熟練した技術を提供できるのが認定看護師の特徴です。認定看護師は専門知識と技術をもって適切なケアにつなげる、現場で活躍するスペシャリストといえます。

現行と新たな認定看護分野(種類)一覧

認定看護師の「認定看護分野」とは、保健・医療・福祉の現場において、熟練した看護技術・知識を必要とする看護分野として日本看護協会が定めたものです。「認定看護師規程」の改正により、認定看護師は現在移行期にあります。現行の認定看護21分野は2026年度をもって教育が終了。新たな認定看護分野は19分野となり、2020年から教育が開始されています。

現行の認定看護21分野(2026年で教育終了)

分野 知識と技術(一部)
救急看護 ・救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
・災害時における急性期の医療ニーズに対するケア
・危機状況にある患者・家族への早期的介入および支援
皮膚・排泄ケア ・褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理
・患者・家族の自己管理およびセルフケア支援
集中ケア ・生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防
・廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施
緩和ケア ・疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和
・患者・家族への喪失と悲嘆のケア
がん化学療法看護 ・がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
・副作用症状の緩和およびセルフケア支援
がん性疼痛看護 ・痛みの総合的な評価と個別的ケア
・薬剤の適切な使用および疼痛緩和
訪問看護 ・在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理
感染管理 ・医療関連感染サーベイランスの実践
・各施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築
糖尿病看護 ・血糖パターンマネジメント、フットケア等の疾病管理および療養生活支援
不妊症看護 ・生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援
新生児集中ケア ・ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防
・生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援
透析看護 ・安全かつ安楽な透析治療の管理
・長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援
手術看護 ・手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
・周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践
乳がん看護 ・集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援
・ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援
摂食・嚥下障害看護 ・摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防
・適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施
小児救急看護 ・救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
・育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護
認知症看護 ・認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築
・行動心理症状の緩和・予防
脳卒中リハビリテーション看護 ・脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア
・活動性維持・促進のための早期リハビリテーション
・急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援
がん放射線療法看護 ・がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
・安全・安楽な治療環境の提供
慢性呼吸器疾患看護 ・安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価及び呼吸管理
・呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施
・急性増悪予防のためのセルフケア支援
慢性心不全看護 ・安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援
・心不全増悪因子の評価およびモニタリング

引用:日本看護協会「認定看護師」

2020年より教育が開始された新たな認定看護19分野

分野 知識と技術(一部)
感染管理 ・医療関連感染の予防・管理システムの構築
・医療管理感染の予防・管理に関する科学的根拠の評価とケア改善
・医療関連感染サーベイランスの立案・実施・評価
・身体的所見から病態を判断し、感染兆候がある者に対する薬剤の臨時投与ができる知識・技術
がん放射線療法看護 ・放射線治療を受ける対象の身体的・心理的・社会的アセスメント
・再現性確保のための支援
・急性期及び晩期有害事象に対する症状マネジメントとセルフケア支援
・医療被曝を最小限にするための放射線防護策、安全管理技術
がん薬物療法看護 ・がん薬物療法の適正な投与管理とリスクマネジメント、暴露対策
・がん薬物療法に伴う症状緩和
・自宅での治療管理や有害事象に対応するための個別的な患者教育
・患者・家族の意思決定支援と療養生活支援
緩和ケア ・痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題のアセスメント
・全人的問題を緩和し、QOLを向上するための症状マネジメント
・家族の喪失や悲嘆への対応
クリティカルケア ・急性かつ重篤な患者の重篤化回避と合併症予防に向けた全身管理
・安全・安楽に配慮した早期回復支援
・身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
・身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術
呼吸器疾患看護 ・呼吸症状のモニタリングと評価、重症化予防
・療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整
・症状緩和のためのマネジメント
・身体所見を病態判断し、侵襲的陽圧換気・非侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
在宅ケア ・生活の場におけるQOLの維持・向上とセルフケア支援
・対象を取り巻くケアシステムの課題に対する解決策の提案
・生活に焦点をあてた在宅療養移行支援及び多職種との調整・協働
・意思決定支援とQOLを高めるエンド・オブ・ライフケア
・身体所見から病態を判断し、気管カニューレの交換が安全にできる知識・技術
・身体所見から病態を判断し、胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換が安全にできる知識・技術
・身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去が安全にできる知識・技術
手術看護 ・手術侵襲及びそれによって引き起こされる苦痛を最小限に留めるためのケア
・手術中の患者の急変及び緊急事態への迅速な対応
・患者及び家族の権利擁護と意思決定支援
・身体所見から病態を判断し、経口用気管
・チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整ができる知識・技術
・身体所見から病態を判断し、侵襲的陽圧換気の設定の変更、人工呼吸器からの離脱ができる知識・技術
・身体所見から病態を判断し、直接動脈穿刺法による採血、橈骨動脈ラインの確保ができる知識・技術
・身体所見から病態を判断し、硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整ができる知識・技術
・身体所見から病態を判断し、持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整ができる知識・技術
小児プライマリケア ・重篤な状態にある児もしくは医療的ケア児に対する重症化予防
・外来及び地域等のプライマリケアの場におけるトリアージ
・家族の家庭看護力・育児力向上に向けたホームケア指導
・不適切な養育または虐待の予防、早期発見と、子どもの事故防
・身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術
新生児集中ケア ・ハイリスク新生児の急性期の全身管理
・障害なき成育のための個別ケア
・ハイリスク新生児と親への家族形成支援
・不適切な養育または虐待のハイリスク状態の予測と予防
・身体所見及び気管カニューレの状態を病態判断し、気管カニューレの交換が行える知識・技術
心不全看護 ・心不全症状のモニタリングと評価、重症化予防
・療養生活行動支援及び地域へつなぐための生活調整
・症状緩和のためのマネジメント
・身体所見から病態を判断し、持続点滴中の薬剤(カテコラミン、ナトリウム、カリウム又はクロール、降圧剤、糖質輸液又は電解 質輸液、利尿剤)の投与量の調整を安全・確実にできる知識・技術
腎不全看護 ・疾病の進展予防、合併症の早期発見と症状マネジメント、セルフケア支援
・腎代替療法の選択・変更・中止にかかわる自己決定に向けた支援
・透析療法における至適透析の実現に向けた支援
・急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾過器の操作及び管理を安全・確実にできる知識・技術
生殖看護 ・性と生殖の機能、その障害とリスク因子に関する知識に基づく妊孕性の評価
・性と生殖の健康課題に対する、多様な選択における意思決定支援
・患者・家族の検査期・治療期・終結期の安全・安楽・納得を守る看護実践とケア調整
・妊孕性温存及び受胎調節に関する指導
摂食嚥下障害看護 ・摂食嚥下機能とその障害の評価
・摂食嚥下機能の評価結果に基づく適切な援助・訓練方法の選択
・誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の増悪防止に向けたリスク管理
糖尿病看護 ・血糖パターンマネジメント
・病期に応じた透析予防、療養生活支援
・予防的フットケア
・身体所見から病態を判断し、インスリンの投与量の調整ができる知識・技術
乳がん看護 ・術後合併症予防及び緩和のための周手術期ケアと意思決定支援
・ライフサイクルの課題を踏まえた、治療に伴う女性性と家族支援
・乳房自己検診、リンパ浮腫等の乳がん治療関連合併症の予防・管理
・身体所見から病態を判断し、創部ドレーンの抜去ができる知識・技術
認知症看護 ・認知症の症状マネジメント及び生活・療養環境の調整
・認知症の病期に応じたコミュニケーション手段の提案と意思決定支援
・家族への心理的・社会的支援
・身体所見から病態を判断し、抗けいれん剤、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術
脳卒中看護 ・重篤化回避のためのモニタリングとケア
・早期離床と生活の再構築に向けた支援
・在宅での生活を視野に入れたケアマネジメントと意思決定支援
・身体所見から病態を判断し、抗けいれん剤、抗精神病薬及び抗不安薬の臨時の投与ができる知識・技術
皮膚・排泄ケア ・褥瘡のトータルマネジメント
・管理困難なストーマや皮膚障害を伴うストーマケア
・専門的な排泄管理とスキンケア
・脆弱皮膚を有する個人・リスクがある個人の専門的なスキンケア
・地域包括ケアシステムを視野に入れた同行訪問実施とマネジメント
・身体所見から病態を判断し、褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去及び創傷に対する陰圧閉鎖療法ができる知識・技術

引用:日本看護協会「認定看護師」

現行と新たな認定看護分野の違い

現行と新たな認定看護分野の違いは大きく2つあります。

特定行為研修が追加

現行と新たな認定看護師の分野の大きな違いは、「特定行為研修」が追加されていることです。特定行為研修とは、医師の業務の一部を看護師の判断で実施するために受ける研修を指します。特定行為が可能になることで、患者のニーズにいち早く応えることができるというメリットがあります。

分野の統合・分野名の変更

新たな認定看護師資格には、「分野が統合されたもの」と「分野名が変更されたもの」があります。

【分野が統合されたもの】

  • 救急看護、集中ケア→クリティカルケア
  • 緩和ケア、がん性疼痛看護→緩和ケア

【分野名が変更されたもの】

  • がん化学療法看護→がん薬物療法看護
  • 不妊症看護→生殖看護
  • 透析看護→腎不全看護
  • 摂食・嚥下障害看護→摂食嚥下障害看護
  • 小児救急看護→小児プライマリケア
  • 脳卒中リハビリテーション→脳卒中看護
  • 慢性呼吸器疾患看護→呼吸器疾患看護
  • 慢性心不全看護→心不全看護

現行と新たな認定分野の違いを把握し、今後のキャリアプランを検討したうえで資格取得を目指しましょう。

認定看護師になるには?資格取得条件から合格率・難易度まで

認定看護師になるには、一定の条件を満たした看護師が認定看護師教育課程を修了後、認定試験に合格し、認定を受ける必要があります。

認定看護師資格取得の条件

認定看護師の資格を取得するための条件は以下になります。

  • 日本国内の看護師資格を有すること
  • 実務研修が5年以上あること(うち3年は認定分野の実務研修)
  • 認定看護師教育課程を受講・修了

上記の条件を満たした看護師が認定試験を受験・合格すると、認定看護師資格を取得できます。

認定看護師資格が取得できる教育機関

認定看護師資格が取得できる認定看護師教育機関は、現在A課程とB課程に分かれています。

A過程とB課程の違い

A課程とB課程の大きな違いは特定行為研修の有無です。B課程には特定行為研修が組み込まれており、受講時間数がA課程よりも多くなります。また、B課程ではe-ラーニングによる研修があるのも特徴です。新たな認定看護師の分野を取得する場合は、B課程を受講・修了する必要があります。

A課程 B課程
開業期間 6ヶ月以上1年以内 1年以内
時間数 600時間以上 800時間程度
(分野によって異なる)
受講方法 集合教育 集合教育・e-ラーニング

参考:日本看護協会

認定看護師になるまでのスケジュール

認定審査は毎年1回のみ実施されます。また、教育課程への出願期間や試験日などは教育機関ごとに異なるため注意しましょう。認定看護師の認定審査までのスケジュールは以下になります。

認定審査までのスケジュール

認定後は、5年ごとに書類による認定更新審査があります。

認定看護師の資格取得にかかる費用

認定看護師の資格取得にかかる費用の一例を紹介します。細かな部分は受講する分野や教育機関によって異なるので、受けたい分野と教育機関の募集要項をよく確認しましょう。

【認定看護師取得までにかかる費用の例)】

入学金…約5万円

受講料…約100万円

審査料と認定料…約10万円

参考:昭和大学認定看護師教育センター・募集要項

資格取得にかかる費用だけで100万円程度必要ですが、教育機関が遠方の場合は交通費や宿泊費などもかかるため、資金は計画的に用意しておく必要があるでしょう。

職場によっては、奨学金の支給や研修による休みを出張扱いとするなど、認定看護師取得のための支援を行なっている場合もあります。現在、自分が勤務している職場の支援体制を確認してみると良いでしょう。

認定看護師認定審査の合格率と難易度

認定看護師の資格取得を検討する際、合格率も気になるところです。そこで、認定看護師認定審査の合格率を調査しました。

分野 受験者数 合格者数 認定看護師総数
救急看護 57 49 1,327
皮膚・排泄ケア 73 67 2,542
集中ケア 42 39 1,214
緩和ケア 195 139 2,454
がん化学療法看護 85 71 1,646
がん性疼痛看護 19 14 773
訪問看護 52 49 651
感染管理 115 110 2,903
糖尿病看護 31 31 910
不妊症看護 6 6 179
新生児集中ケア 20 19 433
透析看護 21 18 270
手術看護 74 60 647
乳がん看護 21 18 372
摂食・嚥下障害看護 134 114 936
小児救急看護 267
認知症看護 344 336 1,581
脳卒中リハビリテーション看護 61 58 772
がん放射線療法看護 56 51 323
慢性呼吸器疾患看護 38 33 324
慢性心不全看護 52 47 436
全21分野合計 1,496 1,329 20,960

引用:日本看護協会「2019年 第27回認定看護師 認定審査結果」

認定看護師全体の合格率は88.8%と高い水準であり、計画的にカリキュラムを受講し、試験対策をすれば合格は可能であるといえます。「緩和ケア」「がん性疼痛看護」では合格率が70%代と、他の分野に比べて低めの合格率となっており、やや難易度が高めの傾向にあるといえるでしょう。

新たな認定看護師認定審査の難易度は上がる?

新たな認定看護師の認定を受けるには、B課程を受講する必要があります。特定行為研修が組み込まれたB課程では教育時間数も増加しており、難易度は上がるといえるでしょう。

認定看護師になると給料・年収は上がる?資格を取得する4つのメリット

ここからは、認定看護師資格を取得するメリットについてキャリア・給料・年収・待遇面のデータを含めて解説します。

メリット1:キャリアアップが期待できる

認定看護師の資格を取得することで、職場での活躍が広がります。特定分野でのリーダー役となったり管理職に昇進したりと、キャリアアップも期待できるでしょう。実際に2021年の認定看護師のデータによると、主任相当以上の職位を持つ認定看護師は全体の半数以上となっています。

メリット2:日勤帯での業務が増え、生活リズムが整いやすくなる

認定看護師になると特定分野でのリーダー役となるため、研修会への参加や職員への教育指導など、日勤帯での業務が増えます。また、職場によっては管理部門の専従勤務などとなり、夜勤回数が減る可能性もあるでしょう。夜勤業務が減ると生活リズムが整いやすくなるというメリットもあります。

メリット3:転職に有利になる可能性がある

認定看護師の資格を取得すると、転職の際のアピールにもつながります。転職先からも貴重な人材として優遇される可能性があり、給料面での交渉もしやすいでしょう。

メリット4:給料アップが期待できる

日本看護協会のデータによると、認定看護師の手当月額平均は5224円です。最も高い支給額は1万9,000円であり、給料アップも期待できます。ただ注意点として、資格手当が支給されている看護師は全体の30%程度です。資格手当が支給されるかどうかは職場に確認しましょう。なお、病院設置主体別にみると国立病院や医療法人での支給率は高めの傾向となっています。

日本看護協会「2012年認定看護師の活動及び成果に関する調査報告書」p17~p20

認定看護師資格は定期更新が必要【資格取得済の方】

認定看護師は、資格取得後も書類審査による5年ごとの更新が必要ですが、新たな認定看護師への移行にともなって、更新方法にそれぞれ注意点があります。

ここからは、認定看護師資格の更新方法や新たな認定看護師への移行方法などを解説します。

現行の認定看護師の更新と再認定は可能?

現行の認定看護師資格を取得済みの場合、更新審査は引き継がれます。また現行の認定看護師で、更新ができなかった人のための再認定審査は、永続的に実施されますが、2021年度以降に初めて資格を取得する現行の認定看護師と、新たな認定看護師の再認定行われないので注意が必要です。

現行から新たな認定看護師へ更新する方法

現行の認定看護師は、2021年より「特定行為研修」を修了することで新たな認定看護師に移行が可能です。移行後の分野は以下のいずれかになります。

  • 現在取得している認定看護分野
  • 統合した分野
  • 分野名を変更した分野

たとえば、現行で「がん性疼痛認定看護」を取得している人が移行するのは「緩和ケア」、分野名が変更された「慢性心不全看護」を取得している人は「心不全看護」へ移行します。

参考:日本看護協会「各分野の移行後の認定看護分野について」

特定行為研修を受ける指定研修機関に指定はなく、どの特定行為区分を受講してもかまいません。また、新たな認定看護師に移行せずに、現行の認定更新審査を受け合格することで、現行の認定看護師資格を継続することも可能です。

看護師キャリアの選択肢として「認定看護師」を検討しよう

認定看護師は特定の看護分野において熟練した技術と知識を持つ認定資格で、キャリアアップを検討する看護師に人気の資格です。認定看護師には各分野があり、自分が目指したい看護師像をイメージしたうえで資格を取得するか選択することが大切です。認定カリキュラムや更新方法などを把握し、計画的な準備をして資格取得を目指しましょう。

参考

日本看護協会「認定看護師・病院勤務社の分野別所属部署別登録者一覧」

日本看護協会「認定看護師が所属する施設(全体)」

伊藤雪乃
この記事を書いた人
伊藤雪乃
2003年に看護師免許取得後、北海道の公立病院に5年間勤務し、地域医療をに携わる。その後埼玉県の介護施設(ショートステイ)で3年、整形外科病院に10年勤務。 2018年ごろから副業でライターをはじめ、現在はウェブと書籍に携わるフリーライターとして活動中。 2022年11月発売「私立文章女学院」編集協力

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