看護師の初任給の平均は?手取り額から1年目のボーナス事情まで【2023年】

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看護師の初任給や手取り額、ボーナスの平均額を日本看護協会のデータに基づき紹介。勤続年数による年収アップの推移、1年目から取り組みたいマネープランニングまでを解説します。

看護師の初任給。平均額と手取り額

日本看護協会の「2022年 病院看護・助産実態調査」によると、看護師の初任給は26万~27万円でした。

平均基本給与額
(基本給)
平均税込給与総額 年収換算した金額
(ボーナスを含まない)
高卒+3年課程専門卒 203,276円 263,711円 317万円前後
大卒 209,616円 271,730円 325万円前後

初任給は最終学歴によって異なり、大卒の方が専門卒よりも基本給は6,340円ほど、税込総額では8,019円ほど高いことがわかります。また、年収換算すると80,000円ほどの差があります。

他の医療職種と比較しても看護師の初任給の平均は高く、魅力的な待遇の一つと言えるでしょう。

続いて、過去5年間の看護師の初任給の平均額と、実際にもらえる手取り額の推移を見ていきます。

初任給の推移

大卒 専門卒
基本給与 税込給与総額 基本給与 税込給与総額
2022年度(実績) 209,616円 271,730円 203,276円 263,711円
2021年度(実績) 209,990円 267,440円 203,445円 259,233円
2020年度(実績) 208,918円 270,292円 202,289円 262,277円
2019年度(予定) 206,608円 271,381円 199,894円 263,551円
2018年度(予定) 207,013円 273,854円 200,114円 266,041円

引用:日本看護協会 調査報告より

看護師の初任給の基本給与は大卒・専門卒ともに前々年から見てもほぼ横ばいですが、税込給与総額は、前年度と比べて3,000円から4,000円程度増加していることがわかります。

理由は、2021年度の補正予算による「看護職員等処遇改善事業補助金」の影響です。2022年2〜9月の間に勤務した看護職員には、収入が月額4,000円程度引き上げられる措置が講じられました。この5年間で減少傾向にあった給与総額の回復は、この措置の影響があったと考えられます。

初任給の手取り額は約21万〜23万円。給与の内訳を解説

給与総額(額面)には通勤手当など諸手当が含まれているため、実際に振り込まれる手取り額とは異なります。一般的に手取り額は額面の8割が相場で、2022年度の大卒の給与をもとに計算すると看護師の初任給の手取り額は約21万~23万円です。以下より給与の内訳を解説します。

差し引かれるもの(控除)

給与からは、税金と社会保険料が差し引かれます。

内訳 差し引かれる額
税金 ・所得税(国税)
・住民税(地方税)
年収や扶養人数などによって異なる
社会保険料 健康保険 健康保険は10%前後、厚生年金保険は18.3%。両者の合計額を職場と個人で折半した金額が差し引かれる
厚生年金保険
介護保険 40歳以降から差し引かれる。介護保険第2号被保険者のみ1.80%を職場と折半した額
雇用保険 看護師の雇用保険料は給与の0.3%。職場と被保険者で2:1のため、負担額は0.1%

健康保険は医療費や生活習慣病予防のための健康診断費用が含まれたもの、厚生年金保険は老後の生活や障害時の生活を保障するための年金保険です。これらの保険料は将来的な安心のためにも必要ですが、手取り額には大きく影響を与えます。

例えば「年収500万円、25歳、扶養家族なし、東京都在住」の条件の場合、税金や社会保険料は以下の金額が差し引かれるイメージです。

項目 金額
所得税 約53万円
住民税 約25万円
健康保険料 約21万円
厚生年金保険料 約48万円
雇用保険料 約1万5000円
合計 約148.5万円

上記の通り額面から差し引かれた場合、年収の手取り額は約351.5万円となります。

加算される手当

看護師の給料に加算される手当の相場は以下のとおりです。金額や支給内容は病院によって大きく異なります。

手当の種類 支給内容 相場
住宅手当 住宅費用を一部支給される手当 月10,000〜30,000円程度
家族手当 配偶者や子どもがいる場合に支給される手当 月3,000〜10,000円程度
通勤手当 職場まで通勤にかかる交通費 上限月27,000〜30,000円程度
夜勤手当 夜勤を行った場合に支給される手当 1回5,000円から15,000円程度
資格手当 専門看護師や認定看護師などの資格を有する場合に支給される手当 月3,000円から10,000円程度
役職手当 主任や副主任などの役職者に対して支給される手当 月5,000円から20,000円程度

例えば住宅手当の場合、自分が世帯主であることや勤務先から一定の距離に住んでいる場合などの条件を満たす必要がある可能性もあります。

同じ院内で働く場合でも、職場への通勤距離や家族の有無、夜勤の回数などによって手当の支給金額は異なるのです。

看護師の初任給はいつもらえる?注意点も解説

看護師が初任給をもらえるのは、入職した月または翌月です。4月に入職した場合、以下のように支払日の違いによって初任給がもらえる日は異なります。

給与支払日 初任給 内容
末日締め・当月25日払い 4月25日 その月の給料を月末まで勤務したものとして、前倒しで支払われる
月末締め・翌月末払い 5月末日 その月の給料が翌月末に支払われる

勤務先の締め日と支払日について確認しましょう。
ここからは、初任給や2年目以降の給料についての注意点も解説します。

4月の給料は低い可能性

看護師の4月の初任給は、5月以降の給料に比べて低い可能性があります。看護師の給料には夜勤をすることで支給される夜勤手当があり、特に今後はこの支給額が大きく影響するためです。

例えば夜勤1回につき10,000円の手当が支給される場合、月に3回夜勤に入ると給料が30,000円アップします。新卒看護師の場合、入職月から夜勤に入ることはないため、4月の給料は低くなります。

なお、看護師の夜勤に支払われる一回あたりの平均手当額は、以下の通りです。

2020年度平均夜勤手当額
三交代制準夜勤 4,154円
三交代制深夜勤 5,122円
二交代制夜勤 11,286円

引用:日本看護協会「2020年 病院看護実態調査」

「住民税」の存在を忘れずに

住民税は前年の所得額に基づいて決定されるため、前職がない1年目は住民税が引かれません。1年目に引かれるのは所得税と社会保険料です。住民税は入社2年目の6月から引かれるようになります。

そのため1年目の時に想像していたより給料が高かった場合も、2年目になると給料が減ったように感じてしまうかもしれません。

看護師の初任給は地域・施設規模ごとに異なる

看護師の初任給は施設の規模、地域によって異なります。

施設規模の違い

看護師の初任給は、施設規模が大きいほど高い傾向にあります。

2022年度 病床規模・新卒看護師の初任給
病床数 大卒 専門卒
99床以下 267,500円 260,559円
100~199床 269,253円 261,954円
200~299床 270,810円 263,585円
300~399床 278,238円 268,330円
400~499床 279,854円 270,566円
500床以上 278,167円 267,805円

引用:日本看護協会「2022年 病院看護・助産実態調査」

99床以下の病院と500床以上の病院では、大卒で10,667円、専門卒で7,246円の差があります。

地域の違い

看護師の初任給は地域によっても異なります。都市部ほど高い傾向にあり、地方や離島の場合は低めに設定されることがほとんどです。給料の高い都道府県TOP5は以下の通りです。

2022年 都道府県・新卒看護師の初任給
順位 都道府県 大卒 専門卒
1 千葉県 296,882円 290,594円
2 東京都 296,445円 289,206円
3 静岡県 288,635円 282,251円
4 埼玉県 286,930円 279,055円
5 神奈川県 286,159円 277,472円

引用:日本看護協会「2022年 病院看護・助産実態調査」

地域別・施設規模別に大卒と専門卒で比較すると、どの地域でも大卒の方が高い傾向にあります。

今後どれくらい上がる?看護師の経験年数別給料データから分析

看護師の給与は経験年数によって大きく変わります。

以下は厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」から算出した、看護師の経験年数別の平均月収と年収のデータです。

経験年数 平均月収 平均年収
0年 253,800円 3,138,700円
1〜4年 283,100円 4,103,200円
5〜9年 301,600円 4,465,900円
10〜14年 314,500円 4,688,900円
15年以上 349,600円 5,231,200円

※平均年収は「きまって支給する現金給与額」×12か月分+「賞与その他特別給与額(ボーナス)」で算出

上記データによると、1年目の月収平均は約25万円、年収平均は約310万円です。一方、15年目になると月収平均は約35万円、年収平均は約520万円となっています。年収で比較すると約210万円の差があります。

経験年数が増えるにつれ給与が上がる傾向にあるのは、基本給が上がるだけでなく管理職への昇格やプラスアルファの資格取得によるキャリアアップ、より給料の高い職場への転職などの要因が考えられます。

看護師1年目からボーナスは支給される?

ボーナス(賞与)とは、毎月の固定給与とは別に実績に応じて支払われる給与のことです。支給額は「基本給×1.5~3ヵ月分」で計算されることが多く、夏と冬の2回に分けて支払われます。

一般的に看護師1年目でもボーナスが支給されますが、病院によっては支給されないこともあるようです。

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、2022年の1年目の看護師のボーナスの平均は、夏・冬の合計で93,100円でした。夏のボーナスは入職後間もなく実績がないため支給が少ないものの、冬のボーナスからは満額支払われるケースが多いようです。
なお、ボーナスの場合でも通常の月収と同じように健康保険料や厚生年金保険料は差し引かれます。

2年目から5年目の看護師の平均ボーナスは706,000円にアップします。ただし前年の給与やボーナス支給金額が増えるほど控除額もアップし、706,000円のボーナスの場合でも手取りはおよそ35万円となる計算です。

看護師1年目からやるべきマネープランニング

得た収入を無駄にしないために、無駄な支出を抑え計画的に貯蓄をすることで、家計管理する習慣を作っておくことが大切です。

無駄な支出を抑える

まず、無駄な支出は抑えましょう。食費・光熱費・通信費など支出を見直す一例を紹介します。

食費 外食の回数を減らし自炊をする
光熱費 エコな家電製品を導入する
節水・節電を心がける
電気・ガス会社を見直す
通信費 スマホの料金プランを見直す
光回線のセット契約を検討する

また、生活費を見直して必要なものと不必要なものを分けることが大切です。
休日や夜勤明けに友人との食事や買い物などでリフレッシュをする人も多いでしょう。口座にあるだけのお金を使ってしまうことがないように、支出を管理する癖をつけていきましょう。

定期預金や財形貯蓄を活用する

定期預金や財形貯蓄の活用も効果的です。

定期預金 期間を指定して金融機関に預け入れる
財形貯蓄 給料から一定額を天引きして貯蓄する

それぞれの方法で、将来に向けた資産形成が可能です。定期預金と財形貯蓄は金利が比較的高く、将来の運用益が期待できることがメリットです。

ただし、どちらも長期にわたる貯蓄になるため、急な出費に対応するための備えとしては不向きでしょう。自分の収入と支出を把握し、自分にあった貯蓄プランを検討してください。

看護師の初任給は条件によって異なる。1年目から計画的なマネープランを

日本看護協会の調査によると看護師の平均初任給は26~27万円で、一般的な職種に比べ初任給の高い職業といえます。

しかし看護師の初任給は施設規模や地域によって異なり、加算される手当によっても差があるため注意が必要です。

また給料が低くても、無駄な支出を抑えたり定期預金や財形貯蓄を活用することで、手元に残せるお金を増やしたり将来に向けた資産管理は可能です。1年目から給料を管理する習慣をつけましょう。

村上舞
この記事を書いた人
村上舞
帝京大学医療技術学部看護学科を卒業後、医療法人徳洲会 湘南藤沢徳洲会 整形外科病棟勤務に勤務し、整形・脊椎外科の急性期看護を経験。以降は、循環期病棟、呼吸器内科病棟、回復期病棟で勤務。出産を機に退職し、特養やデイサービス、クリニック、健診センター等など幅広い施設での経験を活かし、ライターとして活動中。

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