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クリニック看護師の仕事内容や給料は?メリット・デメリットを紹介
公開日:2022/5/17
最終更新日:2022/5/17
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この記事では、クリニック看護師の仕事内容、給料などの待遇、メリット・デメリットについて解説します。クリニックの看護師に向いている人の特徴も紹介するので、ライフスタイルの変化から、クリニックでの勤務に興味がある人は参考にしてください。
目次
クリニックで働く看護師の仕事内容は?
クリニックで働く看護師の仕事内容は職場によってさまざまです。スタッフ数が少ないクリニックでは、医師の診療補助だけでなく清掃や受付などを担う場合もあります。以下ではクリニック看護師の主となる業務から任される可能性がある仕事内容まで詳しく解説します。
医師の診療補助
クリニックの看護師の主な仕事内容は、以下のような医師の診療補助業務です。
- 問診
- 診療介助
- バイタルチェック
- 採血
- 点滴
診療科やクリニックが提供している医療によって、専門的な業務が発生することもあります。たとえば、消化器外科では内視鏡の介助、訪問診療を行なっているクリニックであれば往診への帯同といったことも看護師の仕事になるでしょう。
清掃や消毒
清掃員や看護助手を配置していないクリニックの場合は、診察室や待合室、玄関やトイレなどの清掃も看護師の仕事になる可能性があります。そのほか診療で使う器具の洗浄や消毒など、診療に必要な環境整備も看護師の仕事になるかもしれません。
事務作業
受付スタッフや事務員がいないクリニックでは、看護師が受付や事務を担うことがあります。主な事務作業は以下の通りです。
- 予約や問い合わせなどの電話対応
- 受付や診察室への案内
- カルテ出し・整理
- 検査データの整理
- 備品の発注
- 業者への対応
診療科ごとの1日の勤務スケジュール例
クリニックで働く看護師の1日スケジュールの例を紹介します。診療科によって開院時間や診療終了時間が異なります。美容クリニックは他の診療科に比べると開院時間が遅い反面、診療終了時間が遅くなる傾向があります。
内科系のクリニック | 往診・訪問があるクリニック | 美容系のクリニック | |
---|---|---|---|
8時 | 出勤 受付・開院準備 |
出勤 受付・開院準備 |
|
9時 | 開院 診療の補助 |
開院 診療の補助 |
|
10時 | ↓ | ↓ | |
11時 | ↓ | ↓ | 開院 診察・手術の補助や施術 |
12時 | ↓ | ↓ | ↓ |
13時 | 午前診療終了 休憩 |
午前診療終了 休憩 |
↓ |
14時 | ↓ 準備 |
↓ 準備 |
↓ |
15時 | 午後診療開始 | 往診や訪問看護 | 休憩(交代制) |
16時 | ↓ | ↓ | ↓ |
17時 | 午後診療終了 清掃後退勤 |
準備 | ↓ |
18時 | 午後診療開始 | ↓ | |
19時 | ↓ | ↓ | |
20時 | 午後診療終了 清掃後退勤 |
↓ | |
21時 | 診察終了 清掃後退勤 |
参考:医療法|e-Gov
上記のように病院とクリニックは働く環境が異なるため、看護師の働き方・役割・求められるスキルにも違いが生じます。
たとえば病院では夜勤業務があるのに対し、入院設備がないクリニックであれば夜勤自体がないため、2交代や3交代といったシフトの有無も違ってくるでしょう。
また、病院は高度な検査・治療設備を備えていることが多く、重症の患者さんや救急搬送されてくる患者さんも受け入れる場合が少なくありません。
一方でクリニックは、比較的軽症の患者さんが多く、プライマリ・ケアの役割があります。高度な検査や治療が必要であれば病院へ紹介するのが一般的です。
クリニックで働く看護師の給料や待遇
クリニックで働く看護師の給料や待遇は、クリニックごとに異なります。しかし、病院で働く比べると年収が低くなりやすく、社会保険が充実していない場合や、賞与や退職金などが用意されていない場合も少なくありません。就業を考えている場合は、面接時などにクリニックへ確認することをおすすめします。
フルタイムの年収
中央社会保険医療協議会が令和3年に実施した「第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告」によると、フルタイムで働く一般診療所(クリニック)の看護職員の平均年収は約378万円でした。
一般病院の常勤看護職員の年収は約506万円となっており、クリニックで働く常勤看護師のほうが128万円ほど少ないことがわかります。
なお、同調査では以下のように一般診療所(クリニック)を、夜勤が見込まれる「入院診療収益あり」と、夜勤がない「入院診療収益なし」に分け、それぞれの常勤看護師の平均年収も公開されています。
一般診療所(クリニック) | 一般病院 | |||
---|---|---|---|---|
全体 | 入院診療収益あり | 入院診療収益なし | 全体 | |
常勤看護職員 の平均年収 | 377万5876円 | 398万2001円 | 373万5754円 | 506万0042円 |
参照:第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告|中央社会保険医療協議会
それによると、入院診療収益ありの診療所で働く常勤看護職員の平均年収は約398万円、入院診療収益なしの診療所で働く常勤看護職員の平均年収は約374万円という結果でした。
入院診療収益があるクリニックと、入院診療収益がないクリニックとでは、常勤看護師の年収に大きな差はないといってよいでしょう。
パート・アルバイトの時給
パート・アルバイトで働くクリニック看護師の時給は、1500円前後が目安です。求人を見てみると、実際のところ時給1100円~2000円程度と開きがあります。
時給に開きが出る要因としては、次のような差が考えられます。
- 地域による差
- 業務内容による差
- 求められるスキルや経験による差
昇給に関してはクリニック次第になるため、必ずしもある(またはない)と言い切れません。有期雇用契約であれば、契約の更新時に労働条件の見直しとして時給が上がる可能性もあります。
社会保険
要件を満たせば厚生年金と協会けんぽ(健康保険)へ加入できますが、クリニックが厚生年金や協会けんぽの適用でない場合、厚生年金に加入できなかったり健康保険も国民健康保険になったりする可能性が高いです。
ただしクリニックによっては、厚生年金や協会けんぽ又は医師国保に加入できる場合もあり、さまざまなパターンがあります。
国民年金や国民健康保険に加入する場合は、社会保険料の負担額が大きくなるかもしれません。加入できる社会保険について確認しておきたいところです。
賞与
労働契約や就業規則において、賞与の支給を規定していないクリニックもあります。
厚生労働省が発表する令和4年就労条件総合調査によると、医療・福祉分野で賞与制度がある企業は94%と、ほとんどの企業が賞与制度を用意しています。
しかし全産業で企業規模別にみると、企業規模が小さくなるにつれて賞与制度がない企業の割合が増えていることから、病院に比べて規模の小さなクリニックでは賞与制度の導入がしづらい背景が考えられます。
ただ経営状況や勤続年数に応じて寸志が支給されるクリニックもあるなど、勤務先や勤務先の業績によるため実際のところはクリニックごとに確認が必要です。美容クリニックでは、新規契約数や施術内容・回数、美容用品の販売数の実績によって賞与の支給額が変動することもあります。
退職金
退職金制度のないクリニックもあります。
平成30年就労条件総合調査によると、医療・福祉分野で退職金制度があると回答しているのは全体の87.3%。全企業の平均80.5%を上回っています。
しかし全産業でみると、企業規模が小さくなるほど退職金制度がある企業割合が減る傾向も見られます。クリニックはさら規模が小さいため、退職金制度がないことも珍しくありません。クリニックでの就労を考える場合は、クリニックごとに確認しましょう。
看護師がクリニックで働くメリット・デメリット
次に病院勤務と比較してクリニックで働くメリットとデメリットを紹介します。
メリット
看護師がクリニックで働くメリットには次のようなことが挙げられます。
- 夜勤やオンコール対応がない
- 休憩時間や休日が規則的
- 研究発表などがない
- スタッフが少なく組織特有のストレスが少ない
- スタッフや先生との距離が近くアットホームな関係
- 地域の患者さんとコミュニケーションがとりやすい
- 経過が長期にわたって把握できる
クリニックで勤務する場合、ワークライフバランスがとりやすくアットホームな雰囲気で働けることがメリットといえるでしょう。
デメリット
看護師がクリニックで働くデメリットには次のようなことが挙げられます。
- 給料や待遇が病院と比べてよくないことがある
- スキルアップの機会が少ない
- スタッフと相性が悪いと働きづらい
- 事務作業などを求められることもある
- 同級生など顔見知りが来院することもある
- 輪番制にあたることがある
- 診療時間終了の時間を過ぎても診察が終わらない
- 子供が同じ学校でスタッフの休み希望が重複する
待遇やスキルアップの機会獲得が病院に比べて少ない傾向にあることや、狭い範囲の人間関係、地域密着だからこそのデメリットがうかがえます。
クリニックの看護師に求められる資格・スキル
クリニックで勤務する看護師が必要な資格や、スキル・能力について詳細を解説します。
クリニックの看護師に必要な資格
クリニックの看護師に必要な資格は、看護師の資格のみです。精神科であればカウンセリング系の資格など、診療科に関連する資格があると採用時に有利になるかもしれませんが、必須になるケースは少ないでしょう。
クリニックの看護師に必要なスキル
クリニックの看護師には、一般的な看護技術のほかコミュニケーション能力や柔軟性も必要です。
看護技術についていえば、採血や注射、血管確保など、基礎的な技術はどの科であっても必要になるからです。加えてクリニックの診療科に特化した看護技術があればなおよいでしょう。
また職場によっては少人数のスタッフで仕事をまわす必要があることや、地域密着の体制であることからコミュニケーション能力や柔軟性が求められる可能性があります。
クリニックで働く看護師のやりがい
実際にクリニックで働く看護師にやりがいについて調査したところ、以下のような回答がありました。
- 地域の相談員のような役割を担える
- 患者さんの回復する過程が見られる
- 継続的に通院する患者さんがいる
クリニックには長期的かつ継続的に通院する患者さんもいるため、患者さんが元気になっていく過程を見ることで達成感や満足感が得られるようです。
また日常の出来事など会話があったり、患者さんが看護師を気遣ってくれたりと患者さんとの距離感がやりがいにつながっていることがうかがえます。
クリニックの看護師に向いている人
クリニック看護師に向いている人は、次のとおりです。
- ワークライフバランスを重視したい人
- 協調性があり幅広い業務に対応できる人
- 笑顔で患者さんと接することができる人
ワークライフバランスを重視したい人
クリニック看護師は子育てなど、家庭と仕事を両立させたい人に向いています。夜勤がなく休日が規則的であるためです。自宅近くのクリニックに就業すれば通勤時間が短い分、家族や自分のために使える時間を確保できます。
協調性があり幅広い業務に対応できる人
スタッフ間でコミュニケーションを取りながら、さまざまな業務に取り組むことをいとわない人はクリニックの看護師に向いています。少ないスタッフで看護業務や看護業務以外の仕事もこなす必要があるためです。協調性や積極性がある人なら、スタッフとも良好な関係を築きながら働けるでしょう。
笑顔で患者さんと接することができる人
親しみやすい笑顔で患者さんと接することができる人はクリニックの看護師に向いています。地域の人が「通いたい」と思えるような安心感のある医療接遇ができる人は、患者さんからもクリニックからも必要とされるでしょう。
クリニックの働き方を理解してキャリアの選択肢に
クリニックの看護師は夜勤や残業がない場合が多く、ワークライフバランスを重視する人には向いているでしょう。しかし職場によっては給料や待遇面が不十分である可能性や、自主的に学びの機会を求めていかないとスキルアップが難しいこともあり得ます。クリニック勤務を検討する人は、入職前に条件や職場の雰囲気を確認したうえで選択しましょう。
【参考・引用】
医療法|e-Gov
第23回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告|中央社会保険医療協議会
令和4年就労条件総合調査|厚生労働省
平成30年就労条件総合調査|厚生労働省
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この記事を書いた人小田あかり
- 大学看護学部卒業後、小児・内分泌・循環器科で勤務。看護師として働きながら、知識と経験を活かし、医療ライター・監修者として活動中。