地域医療支援病院で働くメリット・デメリット。看護師の役割を解説

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地域医療支援病院ってどんなところ?転職するメリット・デメリット

看護師の求人を探していると、一度は「地域医療支援病院」という言葉を見たことがあるのではないでしょうか。地域医療支援病院は、いわば「地域医療の中核的役割を担う病院」であり、充実した診療科や病床数など規模の大きさが特徴です。今回は、そんな地域医療支援病院の役割・特徴や、転職するメリットなどについてご紹介します。

地域医療支援病院への転職を考えたら知っておきたいこと

地域医療の中心となる地域医療支援病院は、病院規模が大きく、ハード・ソフト面も整っていることから人気の高い転職先のひとつです。しかし、単に「規模が大きい」「設備が充実している」というだけで転職先を決めるのは不安が残ります。まずは、地域医療支援病院がどのような医療機関なのか知っておきましょう。

地域医療支援病院の役割・特徴とは?

地域医療支援病院は、その地域に住む人々が身近な場所で必要な医療が受けられるように、地域のかかりつけ医をサポートする立場にあります。地域医療の充実を図るため、地域医療支援病院には次のような役割が求められます。

紹介患者への医療提供

地域医療支援病院の大きな役割のひとつが、地域のかかりつけ医との連携です。地域医療支援病院は、原則として紹介制で、かかりつけ医からの紹介患者(集中治療を必要とする重症患者)を積極的に受け入れています。治療終了後は、かかりつけ医に逆紹介することで、継続的な医療が受けられるようにします。

このように、急性期治療を行う医療機関と、病状安定後に継続的なフォローを担う医療機関を区別することで、地域医療の確保・効率化を図っているのです。

病院設備・医療機器の共同利用

地域医療支援病院では、院内の設備・医療機器を地域のかかりつけ医が共同利用できるような体制を整えています。

救急医療の提供

地域医療支援病院では、救急搬送による重症患者をいつでも受け入れられるよう、24時間体制で検査・治療の提供体制を整えています。

地域の医療従事者への研修・教育

地域医療の確保・サポートを担う中核病院として、地域医療従事者への研修・教育を行うことも重要な役割のひとつです。

このように各地域では、地域医療支援病院を中心に医療機関や医療従事者同士の連携をとることで、地域医療の確保・質の向上を図っています。

地域医療支援病院として承認されるための要件

地域医療支援病院は、地域医療を支える中核病院として都道府県から承認を得た医療機関です。そのため、いくつかの条件を満たす必要があり、主な承認要件は次のようになっています。
1. 主体が、国・都道府県・市区町村・社会医療法人、または厚生労働大臣の定める医療法人・公的医療機関であること
2. 紹介患者主体の医療を提供していること(次のいずれかに当てはまること)
◯紹介率が80%以上
◯紹介率が65%以上、かつ逆紹介率が40%以上
◯紹介率が50%以上、かつ逆紹介率が70%以上
3. 救急医療を提供する能力があること
4. 病院の設備・医療機器を、地域の医師・歯科医師などが共同利用できる体制が整っていること
5. 地域医療従事者に対する研修・教育を行っていること
6. 病床数が200床以上あること

紹介率・逆紹介率とは?

あまり聞き慣れない言葉ですが、紹介率は「他の医療機関から紹介されて来院した患者さんの割合」、逆紹介率は「他の医療機関へ紹介した患者さんの割合」のことです。紹介率・逆紹介率は、次のように割り出されています。

◯紹介率=紹介患者数÷初診患者数×100
◯逆紹介率=逆紹介患者数÷初診患者数×100
なお、初診患者数には救急搬入・診療時間外の受診・健康診断目的の患者さんは含まないことになっています。

地域医療支援病院で看護師として働くメリット・デメリット

地域医療支援病院の概要がわかったところで、実際に看護師として働くことになった場合、どのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。

メリット1:地域の中核病院として医療提供体制が充実している

地域医療支援病院では、設備が充実しているのはもちろん、幅広い診療科があります。いろいろな部署を経験してみたい・スキルアップしたいという方には絶好の環境と言えるでしょう。

メリット2:教育体制・研修が充実している

地域医療支援病院は、地域医療従事者を対象とした研修・講習会を年間12回以上行う必要があります。そのため、あらゆる分野の研修・症例検討会などが定期的に開催されており、専門職としての知識向上・スキルアップが期待できます。

メリット3:雇用条件・福利厚生が整っている

地域の中核病院として位置づけられる地域医療支援病院は、都道府県の承認を受けるほどの規模・設備が整っており、多数の職員が働いています。規模の大きな病院は積極的に求人を出しているところが多く、雇用条件や福利厚生もしっかりしているのが特徴です。

デメリット:救急・急性期病院であるため日常的に忙しい

地域医療支援病院で働くデメリットがあるとすれば、二次救急・急性期医療を提供する病院であるため、患者さんの入れ替わりが早く、日常的に忙しいことが挙げられます。急患の受け入れや定期的に開催される研修など、どうしても時間外勤務が多くなる傾向があるようです。

転職前の十分なリサーチ・職場見学がおすすめ

看護師としてのスキルアップを目指すのであれば、地域医療支援病院のような中核病院で働くメリットは大きいと言えるでしょう。しかし、当然のことながら医療機関によって雇用条件や職場環境は異なります。

規模の大きさや福利厚生だけにとらわれるのではなく、あらゆる情報・口コミを十分にリサーチし、実際に見学して職場の空気を感じることが大切です。目指すキャリアプランやワークライフバランスを考えた上で、理想にマッチする職場を探してください。

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